ANNIHILATOR『KING OF THE KILL』(1994)
1994年10月10日にリリースされたANNIHILATORの4thアルバム。
ジェフ・ウォーターズ(G, Vo)、アーロン・ランドール(Vo)、ニール・ゴールドバーグ(G)、ウェイン・ダーリー(B)、マイク・マンジーニ(Dr)という最強の布陣で3rdアルバム『SET THE WORLD ON FIRE』(1993年)を完成させ、アメリカではメジャーのEpic Records流通が実現するも、この編成は短命に終わります。結果、デビュー時から所属するRoadrunner Recordsとの契約も終了し、気づけばジェフのみになってしまったANNIHILATOR。彼は新たなメンバーを探すのではなく、ドラム以外のパートをすべて自分ひとりでこなすことでアルバムを1枚完成させます。
CMC Internationalと契約して届けられた本作では、ドラムをランディ・ブラック(DESTRUCTION、ex. W.A.S.P.、ex. PRIMAL FEAR)がプレイしていますが、曲によってはドラムマシンを使っているようにも聞こえます。このへんのレコーディング手法は現在まで続いており、そういう意味では現在のANNIHILATORのベーシックを作った1枚と言えるでしょう。
楽曲に関しては前作あたりで見受けられたグルーヴメタルの影響濃厚な「The Box」や「Annihilator」なども存在し、非常に時代を感じさせる内容となっています。初期ANNIHILATORに惹かれた者にとっては、本作はある種の“踏み絵”のような1枚だったのではないでしょうか。ところが、そんなグルーヴメタル調の楽曲の中でも、とりわけタイトルトラック「King Of The Kill」の出来が良いもんだから、無下に否定することもできないんですよね。
また、「Bad Child」や「21」「Second To None」のような正統派ヘヴィメタルの影響下にある楽曲や、「Hell Is A War」のように初期ANNIHILATORを継承する楽曲もしっかり残されており、そのへんに好感が持てるものの、いかんせんアレンジとジェフのボーカルが薄味なもので、とてもベストとは言い難い。特に『SET THE WORLD ON FIRE』のようにバランス感の良かったアルバムの後だけに、当時はどうしても劣って聞こえてしまったわけです。
でも、リリースから25年以上経った今の耳で聴くと……確かに薄味ですが、これはこれで悪くないんですよね。ジェフのボーカルにもさすがに慣れてしまったこともあり(笑)、今ほどの貫禄はないものの、これはこれでいいじゃないか……と許せてしまう。時間の流れってときには残酷ですが、こうやって物事をポジティブに感じられるような変化も起こしてくれるのだから、本当に不思議なものです。
上にも書いたように、紆余曲折ありながらも現在まで続く(特に制作面での)ジェフのワンマン体制の原点でもあるので、ぜひチェックしておいてほしい1枚です。なお、現行の曲順は1994年発売時のものとは若干異なるので、中古盤を購入する際そのへんご注意を。
▼ANNIHILATOR『KING OF THE KILL』
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