MYLES KENNEDY『THE IDES OF MARCH』(2021)
2021年5月14日にリリースされたマイルズ・ケネディ(ALTER BRIDGE、SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS)の2ndソロアルバム。
長いキャリアのわりにソロアルバムはこれが初めてだった前作『YEAR OF THE TIGER』(2018年)から3年ぶり。前作は実の父親が亡くなった1974年を軸に、当時5歳前後だったマイルズの幼少期を題材としたコンセプチュアルな内容でしたが、今作は自身で「バラエティに富んだ作品にしたかった」と語るように、ベースにあるルーツミュージックはそのままに、より広がりの感じられる1枚に仕上がっています。
レコーディングメンバーはマイルズ(Vo, G, Lap Steel, Key, Mandolin)のほか、ジア・ディン(Dr, Per)、ティム・トゥルニエ(B)という前作から引き続きの布陣。プロデュースもマイケル“エルヴィス”バスケットが続投しており、基本的な質感は前作の延長線上にあるものと言えるでしょう。しかし、テーマと相まって幾分ダウナーな空気感が強かった前作と比較すると、本作のほうがより開放感の強い内容。フォーキーさは前作に譲るものの、本作はアメリカンロックのダイナミックさやドラマチックさがより感じられる、聴き応えのある1枚と言えるでしょう。
7分半にもおよぶ大作であるタイトルトラックの構成は、ALTER BRIDGEのそれとも異なるもので、こちらのほうがより土着的。かつ、異国情緒も散りばめられており、日本人がよりとっつき易い作風です。かと思えば、軽快さの強いロックンロール「Wake Me When It's Over」や豪快なブルースロック「Get Along」、音数の少ない枯れたブルースロック「Love Rain Down」、サザンロック調の「Sifting Through The Fire」、エモーショナルさが一際強い「Worried Mind」など全体を通して緩急に富んでいる。アコースティック色は随所から感じられるものの、聴き終えたときの爽快感はエレキギターガンガンのロック/ハードロックを聴いたときと同じものが得られるはずです。
シンガーとしてのマイルズの魅力はもちろんのこと、本作ではギタリスト:マイルズ・ケネディの才能も遺憾なく発揮されているのも特徴のひとつ。トリオ編成でここまでがっつり聴かせられるのであれば、ぜひ生でも観て/聴いてみたい……そう強く思わせてくれる1枚です。
年内にはスラッシュの新しいアルバムも完成予定で、おそらくこちらにもマイルズは参加しているはず。そして、来年以降にはALTER BRIDGEの新作も控えているはずなので、しばらくはマイルズ色満載の作品を切れ目なく楽しめそうです。土着的なアメリカン・ハードロックが好きな方なら間違いなく引っ掛かる1枚。ALTER BRIDGEやスラッシュのファンも、もちろん必聴です。
▼MYLES KENNEDY『THE IDES OF MARCH』
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