ROUGH CUTT『III』(2021)
2021年6月8日にリリースされたROUGH CUTTの3rdアルバム。日本盤未発売。
ご存知の方も多いかと思いますが、ROUGH CUTTは80年代半ばに活躍したアメリカ出身のヘアメタル/グラムメタルバンド。結成当初はのちにオジー・オズボーンのバンドに参加するジェイク・E・リー(G)が在籍していたことで知られ、1985年に1stアルバム『ROUGH CUTT』、翌年に2ndアルバム『WANTS YOU!』を発表しますが、1987年にポール・ショティノ(Vo)が脱退(その後、QUIET RIOTに加入)。バンドは解散に追い込まれます。以降、アミア・デラクは90年代末にORGYのメンバーとして再デビューしています。2000年にポール・ショーティノを中心に新たなメンバー再結成していますが、2016年頃にポール、アミア、マット・ソーア(B)、クリス・ヘイガー(G)、デイヴ・アルフォード(Dr)の全盛期メンバーで復活。しかし、2020年頃にポール、アミア、マット組とクリス&デイヴ組に分裂し、結果2つのROUGH CUTTが誕生することになります(あれ、どこかで聞いたことがある話。笑)。クリス&デイヴ組ROUGH CUTTはスティーヴン・St.ジェイムズ(Vo)らを迎えて「Black Rose」という新曲をYouTubeで発表しています。
……話は長くなりましたが、本題はここから(笑)。今回紹介するROUGH CUTTはポール、アミア、マット組のほう。タイトルからもわかるとおり、本作は2ndアルバム『WANTS YOU!』(1986年)から実に35年ぶり(笑)の3作目となります。レコーディングには上記3人に加え、アディショナル・ミュージシャンとしてクリス&デイヴの名前もクレジットされています。要は、2016年以降から制作していた楽曲、音源をそのまま使用しているということでしょうか。さらに、元QUIET RIOT、元RATTのカルロス・カヴァーゾ(G)が「Bleed」「Bed Of Black Roses」「Electric」でリードギターを担当。ブックレット内のバンドクレジットにはカルロスの名前も4人目のメンバーとして掲載されています。LAメタル界の人事、2021年も複雑です(苦笑)。
思えばポール・ショーティノは昨年春、『MAKE A WISH』(2020年)という11年ぶりのソロアルバムを発表しており、中音域を中心とした歌唱スタイルに昔の面影がなくなったことで若干肩を落としたものですが、今作のボーカル/メロディラインに関してもその延長線上にあると言えるでしょう。初期のような派手さは皆無で、ダーク&ヘヴィかつブルースフィーリングの強いハードロックはどこか90年代的ですが(「House Of Pain」なんてもろにモダンヘヴィネス以降のハードロックだしね)、それも1周回ってアリかな。最初通して聴いたときは物足りなさを覚えましたが、2度3度と聴き返しているうちに意外と馴染んできました。「Electric」は比較的派手な部類ですし、うん、悪くはないかな。
ちなみに、「Bed Of Black Roses」という曲はクリス&デイヴ組ROUGH CUTTが発表した「Black Rose」と異名同曲。アレンジは比較的似ており(そりゃそうだろう、レコーディングメンバーが被ってるしな)、ボーカルのタッチの違いでこうも印象が変わるんだなと。そのへんもぜひ聴き比べてもらいたいところです。
(個人的にはクリス&デイヴ組ROUGH CUTTの「Black Rose」のほうがキャッチーに聴こえます)
LAメタルファンやヘアメタル/グラムメタル愛好家は聴いておいて損はないですが、初めてROUGH CUTTを聴くビギナーはまず1stアルバム『ROUGH CUTT』から聴くのが無難です。だって、純粋にカッコいいから。そのあとに、ポール&カルロスが在籍したQUIET RIOTのアルバム『QR』(1988年)を聴いてみてください。QUIET RIOTのイメージを覆す、最高にカッコいいブルースハードロックが堪能できるので(笑)。
ということで、本作はマニア向けの1枚かな。ストリーミング配信もされていませんし、CDの入手も難しそうですし(僕は大阪・難波のS.A.MUSIC通販で入手しました)、気になる方はBandcampでデジタルアルバムを入手してみてはいかがでしょう。→2024年11月よりサブスク配信がスタートしました。ぜひこれを機にチェックしてみてはいかがでしょう。
▼ROUGH CUTT『III』
(bandcamp:MP3)
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