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2021年6月19日 (土)

FEAR FACTORY『AGGRESSION CONTINUUM』(2021)

2021年6月18日にリリースされたFEAR FACTORYの10thアルバム。

ディーノ・カザレス(G)が復帰した7作目『MECHANIZE』(2010年)から4作目、前作『GENEXUS』(2015年)から約6年ぶりの新作。本来ならもっと早くに出ていたなんて話もありましたが(ボーカルトラックは2017年に録音されていたそうですし)、結局アルバムの発売を待つことなく2020年後半にバートン・C・ベル(Vo)がバンドを脱退してしまいます。

現在はボーカル不在で、ディーノと2012年加入のマイク・ヘラー(Dr/RAVENなどにも在籍)、2015年加入のトニー・カンポス(B/STATIC-X)の3人がバンドに在籍。しかし、本作のレコーディングにトニーは参加しておらず、ベーストラックはディーノがプレイしています。これはここ数作と同じ流れですね。また、前々作『THE INDUSTRIALIST』(2012年)および前作の一部はリズムトラックがすべて打ち込みでしたが、今作ではマイクがすべてプレイしているようです。これだけの凄腕プレイヤーを擁するんだから、使わないのはおかしいですわな。

さて、気になる内容ですが……よくも悪くも“いつもどおり”です。もっと言えば、『MECHANIZE』以降3作の延長線上にある作風で、特段目新しさは見つけられないかな。このバンドに何を求めるかによって、本作の評価も大きく変わるかもしれませんが、名作『DEMANUFACTURE』(1995年)やそれ以降の諸作品を気に入っているリスナーなら、今作も間違いなく楽しめるはずです。

ところが、90年代は“近未来的”だとか“一糸乱れぬ機械的なユニゾンプレイが気持ちいい”だとはいってもてはやされた彼らのスタイルも、今では特別すごいというわけでもない(言ってしまえば、もっとエクストリームなスタイルはいくらでも存在するし、いくらなんでも2021年に“近未来的”はないかなと)。ある程度のアップデートは毎回施されているものの、基本路線は90年代半ばから変わっていないわけですから、これを今の耳で聴くとどうなるかというと……おわかりですよね?

確かにディーノのギター(およびベース)とマイクのドラムが生み出す機械的なユニゾンプレイの気持ちよさ、シンセを効果的に用いたスペーシーなサウンドとドラマチックなエクストリームメタルナンバーの数々、スクリームとクリーントーンの比率もちょうどいいバートンのボーカル、そのすべてがカッコいいと思いますが、同時にどこか「懐かしい」とも感じてしまう。そう、気づけば彼らのスタイル/サウンドって一世代、二世代前のものになってしまっていたんです。びっくりですね(別に驚かないか)。

もはやスタンダードとも言えなくないこのスタイルとサウンド。古臭く感じられる部分もゼロではない。もはや先鋭的とも言えなくなった……恐竜のような存在でもあるこのアルバムが、2021年にどう評価されるのかが本当に気になります。10年前はまだ「新しい」と感じられたんですけどね。自分の感性が変わってしまったんでしょうか……。

あと、このアルバムからネガティブな要素が拭えないもうひとつの理由が、すでに脱退したボーカルの歌を活かして、そのままリリースしてしまったこと。復帰の可能性が大きいのならわかるけど、それもなさそうですし、ましてや新ボーカリストも決まっていない状態で、本作を携えたツアーも望めない(しかもこういう情勢ですし)。本来ならリリースにワクワクするところ、今作に関しては単なる“記録”としてしか接することができない。どれだけカッコいい曲、カッコいいプレイがたくさん詰まっていても、「でもこれ、この編成でのライブは期待できないし……」と冷静になってしまう。

これ、出す意味あったのかなあ……。

いや、出してくれた事実はうれしいですし、やっぱり良いとは思うんですが、同時に素直に楽しめない自分も間違いなく存在する。なんとも罪作りなアルバムです。

 


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