WHITE LION『MANE ATTRACTION』(1991)
1991年4月2日にリリースされたWHITE LIONの4thアルバム。日本盤は同年4月25日に発売。
出世作『PRIDE』(1987年)をフォローアップする3作目『BIG GAME』(1989年)もスマッシュヒットを記録し、なんとか時代の波から取り残されずに済んだWHITE LIONでしたが、そんな彼が本気の勝負をかけたのがこの4作目。イギリスでは過去最高の31位という好成績を残したものの、湾岸戦争以降の不安定な情勢とグランジへとシフトし始める“前夜”的空気感が影響してか、アメリカでは61位と惨敗。シングルも「Love Don't Come Easy」がラジオヒットするものの、それ以外は大きな成功を収めることができず、バンドは1992年に解散の道を選ぶこととなります。
先行き不安な状況が影響していか、本作が放つ空気感はいつになくシリアスなもので覆われており、かつSE的なイントロダクションを用いた長尺曲(オープニングを飾る「Lights And Thunder」は8分超え。ほかにも「Warsong」や「She's Got Everything」は約7分)も少なくなく、全12曲/62分というトータルランニングも彼らにしては非常に長く感じられます。
このパーティロック感を排除したシリアスでダークなテイストこそ、彼らがハードロックバンドとして真剣に勝負をかけた表れなのでしょう。実際、この年のヒット作でもあるMETALLICAのブラックアルバムやNIRVANAの『NEVERMIND』、PEARL JAMの『TEN』などはヘヴィでダークな作風ですし、HR/HMシーンもPANTERAなどのグルーヴメタルバンドが台頭し始める。WHITE LIONの“シリアスでダークでヘヴィ”という読みは間違っていなかったのです。
それでもヒットしなかったのは、もはや彼らのパブリックイメージが強過ぎたということなのでしょう。事実、アルバム自体は非常に練り込まれたアンサンブルが印象的な、完全無欠のハードロック作品であり、先に挙げたような長尺曲(個人的には「Lights And Thunder」や「Warsong」がお気に入り)もヴィト・ブラッタ(G)のスリリングなギタープレイを存分に楽しめますし。一方で、彼らのポップな側面をより大人びた方向へと進化させた「Love Don't Come Easy」や「You're All I Need」のような楽曲もしっかり用意されており、従来のファンも手放さない配慮がなされている。
だけどヒットしなかった。これはもう、時代と運が悪かったとしか言いようがないでしょう……。実際、10曲くらいに絞り込んだら、本作はもっとタイトなアルバムとして楽しめたはずなんです(良い曲が多いけど、バラードが複数含まれているのも本作のマイナスポイントかな)。
ヴィト・ブラッタは本作を最後にレコーディング音源を残しておらず、現在はミュージシャンとして引退状態。結果、このアルバムが生涯最後の音源ということになります。ギタリストとしてはもちろん、作曲家としても類稀なる才能の持ち主だっただけに、勿体ないったらありゃしない。このアルバムがもう少し成功を収めていたら、そしてWHITE LIONが続いていたら、さらにいろんな曲やプレイを耳にすることができたんじゃないか……そう考えると、つくづくタイミングって重要だなと思わずにはいられません。
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