IRON MAIDEN『KILLERS』(1981)
1981年2月にリリースされたIRON MAIDENの2ndアルバム。
前作『IRON MAIDEN』(1980年)はデビューアルバムながらも全英4位という好記録を残しましたが、続く本作は全英12位とランクを落としてしまっています。しかし、一方で初の全米チャートへのランクイン(最高78位)などもあり、着実に進歩していることは数字からも伝わってきます。
今作からデニス・ストラットン(G)に代わりエイドリアン・スミス(G)が加入。また、今作を最後にポール・ディアーノ(Vo)が脱退するなど、早くも大きな転換期を迎えます。しかし、内容的にはそんないざこざがまったく感じられない、前作からの成長がダイレクトに伝わる良作に仕上がっています。
前作では全体的に勢いで押す曲(「Prowler」「Charlotte The Harlot」など)とプログレッシヴさを全面に打ち出す曲(「Phantom Of The Opera」「Transylvania」など)と二分された感がありますが、今作からはその個性により磨きをかけた感が伝わる。前作の流れを組むパンキッシュさは「Purgatory」程度に収められ、「Murders In The Rue Morgue」や「Another Life」のようなアップチューンはメタリックに整頓されている感がより強まっています。
一方で、オープニングを飾るドラマチックなインスト「The Ides Of March」から「Wrathchild」へ、「Genghis Khan」から「Innocent Exile」へと続く組曲的構成や、6分強におよぶプログレッシヴな「Prodigal Son」、前作における「Iron Maiden」的な展開を持つ「Drifter」などは現在まで続くスタイルのプロトタイプと言えるもの。ブルース・ディッキンソン(Vo)加入後に確立されるスタイルの処女作、といえばわかりやすいのかな。そういった過渡期的な立ち位置にあるアルバムだなと、個人的には昔から感じていました。それもあってか、初期の作品の中でも不思議と手に取る機会の少ない1枚だったんですよね。
ところが、最近久しぶりに聴いたら……面白いことに、1stアルバム以上に気に入ってしまった。周期的なものもあるんでしょうけど、今まで気づいていなかった魅力(暴力的な1作目よりコントロールされている感)にハマってしまったんです。実はこのへんの魅力って、プロデューサーをマーティン・バーチ(BLACK SABBATH、DEEP PURPLE、RAINBOW、WHITESNAKEなど)に交代したのも大きく作用しているのかなと。さすがです。
1 stアルバムと比べたらインパクトは若干弱いかもしれませんが、中身の濃さは前作以上。あなどれない1枚です。
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