MORDRED『IN THIS LIFE』(1991)
1991年2月5日にリリースされたMORDREDの2ndアルバム。日本盤は同年3月21日発売。
Noise Internationalからアルバム『FOOL'S GAME』(1989年)でデビューした、アメリカ・サンフランシスコ出身のターンテーブルを含む編成のスラッシュメタル/ミクスチャーメタルバンド。2作目となる今作は、マイケル・ローゼン(TESTAMENT、FORBIDDEN、VICIOUS RUMORSなど)をプロデューサーに迎えて制作した意欲作です。
彼らがデビューした1989年というと、FAITH NO MOREが『THE REAL THING』を、RED HOT CHILI PEPPERSが『MOTHER'S MILK』をリリースした年。若干ジャンルは異なるものの、EXTREMEもアルバム『EXTREME』でメジャーデビューを飾ったのもこの年でした。いわゆるハード&ヘヴィな音楽にファンクやヒップホップなどの要素を掛け合わせたミクスチャーのはしりがこの頃だったと言えるでしょう(当時はミクスチャーというよりクロスオーバーなる呼び方が主流だったような記憶も)。
今ではロックバンドにDJが正式メンバーとして所属するのは普通の光景ですが、80年代末〜90年代初頭はまだまだ先鋭的すぎて、素直に受け入れるのも難しかったのではないでしょうか。思えば、RAGE AGAINST THE MACHINEのデビューが1992年ですものね。
そんな中で、ベイエリアクランチの流れにあるスラッシュメタルと、ファンクメタル的な跳ねたリズム&アレンジ、DJスクラッチなどをフィーチャーしたサウンドは“早すぎた”。当時、Victorからリリースされた本作の日本盤を購入した記憶がありますが、「まあこういうスラッシュもありかな。ちょっとイロモノっぽいけど」くらいの感想だったと思います。
ところが、リリースから30年経った2021年に本作と向き合うと、非常にカッコいいことに気づかされるわけです。ギターリフの刻みやボーカルスタイルは80年代末から引き継ぐスラッシュメタルのカラーを維持しつつ、要所要所でファンク的なギターストローク&カッティングが飛び出したり、ベースはスラップを用いたファンキーなプレイを全面に打ち出している。かと思えば、随所に1990年前後のオルタナティヴロックの香りも漂わせている。思えば、DEATH ANGELってこのテイストを80年代後半にはすでに取り込んでいたんだよな……なんてことも、このアルバムを聴き返して思い出してみたり。そんな、いろんな気づきを与えてくれる1枚なわけですよ。
1991年というのはロック史およびHR/HM史において、大きな変革を及ぼした1年でした。そんな重要な年に本作のような隠れた名盤がリリースされていた事実は忘れてはならないと思います。
早すぎたバンド、MORDREDは残念ながら1995年に一度解散してしまいます。しかし、2001年に復活を果たして以降、ライブ活動を中心にマイペースな活動を展開。2021年現在もバンドは存続しており、なんとドラム以外がオリジナルメンバーという布陣で27年ぶりの新作『THE DARK PARADE』をリリースしたばかり。追ってこちらの新作についても触れてみたいと思います。
▼MORDRED『IN THIS LIFE』
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