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2021年8月19日 (木)

人間椅子『苦楽』(2021)

2021年8月4日にリリースされた人間椅子の22ndアルバム。

前作『新青年』(2019年)から2年2ヶ月ぶりの新作アルバム。デビュー30周年を記念したベストアルバム『人間椅子名曲選 三十周年記念ベスト盤』(2019年)を挟んでいるものの、とにかく『新青年』以降の盛り上がりぶり(同作からの「無情のスキャット」MVの900万再生や海外での高評価、それに伴う初の海外ワンマンツアー実現、ドキュメンタリー映画『映画 人間椅子 バンド生活三十年』公開など)は目を見張るものがあり、これがデビュー30周年を迎えたバンドかと驚くほどでした。

さて、そんな世の中(といっても音楽界隈の一部でしかありませんが)の喧騒を脇目に、これまでどおりのペースで新作を届けてくれた人間椅子。今回も全13曲/71分というボリューミーで聴き応えのある傑作を完成させました。

作風的にはこれまでと大きな変化は感じられず、従来のアルバムを楽しんできたリスナー(特に近作を気に入っている方)ならすんなり受け入れられるはずです。ただ、そんな中でも今作はヘヴィ度が若干高まっている印象を受け、プログレッシヴな展開を持つ8分近いオープニングトラック「杜子春」をはじめとする和嶋慎治(Vo, G)作曲&歌唱ナンバー、「神々の行進」「暗黒王」などの鈴木研一(Vo, B)作曲&歌唱ナンバーどちらもリフワーク、リズムアンサンブル総じて重みに拍車がかかっています。

しかし、ただヘヴィなだけではなく、どの曲もメロディラインのキャッチーさも同じだけ向上している。ポップとはまた違ったわかりやすく親しみやすいメロディは、決してヘヴィなサウンドを和らげるのではなく、むしろ重苦しいのに聴きやすいという不思議なハーモニーを生み出しているのです。これまでの人間椅子の楽曲/アルバムにももちろんこういった作用は感じられましたが、本作においてその調和は過去イチと言えるほどで、70分超えの大作ではありますが、最後の「夜明け前」まで疲れることなく、むしろ気持ちよく楽しむことができました。

歌詞やアルバムのテーマに関しては和嶋さんがオフィシャルサイトですべて語り尽くしているので、ここでは割愛。とにかく2021年という混沌の時代にこそ聴くべき、日本を代表するロックバンドの傑作だと断言したい。我々の期待を裏切ることなく、むしろその期待を軽々超えていく30年選手の人間椅子、いいぞもっとやれ!

彼らのようなバンドが日本最大級のロックフェスの一番大きなステージで、爆音でライブを繰り広げ、それを我々が安心しながら楽しめる日が1日も早く訪れることを願ってやみません。

 


▼人間椅子『苦楽』
(amazon:国内盤CD / MP3

 

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