CHEAP TRICK『THE LATEST』(2009)
2009年6月23日にリリースされたCHEAP TRICKの16thアルバム。日本盤は同年7月22日発売。
前作『ROCKFORD』(2006年)から3年ぶりの新作。2000年代のCHEAP TRICKは『SPECIAL ONE』(2003年)が前作から6年ぶりの新作だったものの、以降は3年間隔で新作を届けてくれ、年齢のわりにハイペースで創作活動を続けているバンドでした。
今作から制作陣に、2021年時点での最新作『IN ANOTHER WORLD』まで関係が続くジュリアン・レイモンドが初参加。キーボードには元JELLYFISHのロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.が参加したほか、アディショナル・ミュージシャンのクレジットに同じく元JELLYFISHのジェイソン・フォークナーや、トッド・ユース、LINUS OF HOLLYWOODといったパワーポップ界隈の名前を多数見つけることができます。
だからということはないでしょうけど、今作はパワフルなロックチューン全開だった前作と比較すると幾分落ち着いた印象を受けます。良い感じに“枯れた”大人のパワーポップ(オルタナカントリー寄り)に、職人受けしそうな高品質なポップソングの数々は、30年を超えるキャリアに相応しい仕上がりで、CHEAP TRICKに憧れてミュージシャンになったパワーポップ界隈の人たちにとっては理想的な1枚ではないでしょうか。
友人の死からインスパイアされたという、讃美歌のような「Sleep Forever」から厳かに始まったかと思えば、SLADEのカバー「When The Light Are Out」で弾けんばかりのパワーポップを響かせる。かと思えば「Miss Tomorrow」「Sick Man Of Europe」で王道のCHEAP TRICK節を響かせ、「These Days」「Miracle」といったバラードでリスナーのハートを鷲掴みにする。アルバム後半もストレートなロックチューン「Everyday You Make Me Crazy」「California Girl」「Alive」でノリにノセたかと思えば、ミディアムバラード「Everybody Knows」「Time Of Our Lives」「Closer, The Ballad Of Burt And Linda」でしっかり浸らせ、最後は極上のピアノバラード「Smile」で締め括り。
全体的にミディアム/スローナンバーの目立つ作風ですが、いっときの売れ線バラードやパワーバラード路線とは異なり、しっかりルーツの見えるミディアムナンバー中心なので、そこは嫌悪感を覚えることはないかと。先にも書いたように、本作は30年選手による“大人のパワーポップ”がテーマですからね(本人たちにその覚えがなくても、我々はそう受け取っています)。そんなアルバムに『THE LATEST』(=最新作)という、身も蓋もないタイトルを付けるセンスも嫌いになれません。
なお、本作は結果的にバン・E・カルロス(Dr)が参加した最後のスタジオアルバムになってしまいました。
▼CHEAP TRICK『THE LATEST』
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