LEPROUS『APHELION』(2021)
2021年8月27日にリリースされたLEPROUSの7thアルバム。
新境地を伝える前作『PITFALLS』(2019年)から2年ぶりの新作は、前作をさらに推し進めた、より多彩さに満ちた1枚に仕上がりました。もはやHR/HMの範疇で語ることすら難しくなりつつありますが、むしろそれが彼らの多様性や今の進化ぶりにぴったりなのでは。
今作はコロナ禍での制作ということもあり、3つのスタジオで異なる時期にレコーディングされたとのこと。それもあってか、曲ごとにエンジニアやプロデューサーが異なるのも大きな特徴と言えます。バンドメンバーに加え、共同プロデューサーとして近作を手がけるデヴィッド・カスティロ(OPETH、KATATONIAなど)、クライスター・セダーベルグ(ANATHEMAなど)などが名前を連ね、ミックスをこれまで同様にアダム・ノーブル(PLACEBO、BIFFY CLYRO、NOTHING BUT THIEVESなど)が担当。デヴィッドとクライスターが各スタジオで中心となって録音を指揮しましたが、曲によっては1曲まるまる完成させたり、複数のスタジオで録ったテイクを合体させたりと、いろいろな工夫があったようです。
実際、今回のアルバムを聴くとストリングスを駆使した妖艶かつスリリングな楽曲があったり、エレクトロのテイストを強めた前作の延長線上にあるもの、ループするギターストロークを軸にしたオルタナティヴロック風、ヒップホップ以降のクラブミュージックを通過したモダンポップス風など、さまざまなカラーの楽曲にヘヴィなテイストを散りばめ、そこにエイナル・スーベルグ(Vo, Syn)のファルセットを駆使した透明感の強い歌声が乗る……実は、この最後の味付けによってどの曲もLEPROUSらしさが確立されているのでは?と感じるほど、強烈な個性を放っています。
方向性は少々異なるものの、意外とMUSEにも通ずるものがあるのでは……と、特に今作を聴いて感じました。ただ、MUSEがよりクラシカルなものを下地にしつつアバンギャルドな方向へ進むような「軸を見つける」活動に対して、LEPROUSはアバンギャルドなテイストをベースにしながらも、さらにさまざまな味付けを見つけていく「拡散していく」活動のような。また、MUSEがより派手さを身につけていったのに対し、LEPROUSはより内省的なスタイルへと突き進む。逆じゃん!と思いきや、そのミッシングリンクを見つけることができるのがLEPROUSの今作ではないでしょうか(そういえば、前作について書いたときもMUSEの名を挙げていましたね。今回のを書き終えて、前作のレビューを読み返して気づきました)。
もはやジャンル分けは不要だし、逆に何か形容詞をつけてしまうことで彼らの魅力が半減してしまいそうな気がする。それほどに今回のアルバムは繊細さとともに、さまざまな可能性が秘められているのです。言ってしまえば、僕の中ではロックであるのかどうかすらどうでもよくなっている、純粋に優れた音楽作品。初期の作品で展開されたサウンドを切り離しつつ、ビギナーには偏見や色眼鏡なしで触れてほしい傑作です。美しいったらありゃしない。
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