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2021年10月22日 (金)

DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』(2021)

2021年10月22日にリリースされたDREAM THEATERの15thアルバム。

Inside Out Music移籍第1弾の前作『DISTANCE OVER TIME』(2019年)から2年8ヶ月ぶりのオリジナル新作。この期間の間にライブアルバム&映像作品『DISTANT MEMORIES』(2020年)のほか、4つのオフィシャルブートレッグ(『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: IMAGES AND WORDS - LIVE IN JAPAN, 2017』『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: A DRAMATIC TOUR OF EVENTS - SELECT BOARD MIXES』『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: TRAIN OF THOUGHT INSTRUMENTAL DEMOS (2003)』『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: MASTER OF PUPPETS - LIVE IN BARCELONA, 2002』)を続発していたこともあり、インターバルが空いている感覚は皆無。むしろ、コロナ禍の影響とはいえ3年に満たないスパンで新作が届けられたことは、素直に喜ばしいことだと思っています。

プレスリリースによると、前作は「原点回帰を目指した楽曲制作とレコーディング手法で、贅肉を削ぎ落としたパワーを封じ込めたコンパクトな楽曲群」中心の内容とのことでした。確かに、それ以前の作品と比較すれば4〜6分台の楽曲が中心で、全9曲で57分というトータルランニングも近年の彼らにしてはコンパクトだったと言えるでしょう。しかし、そこに封じ込まれた楽曲のメロディはインパクトの弱いものばかりで、個人的にはあまり響かない作品でした。

では、今作はどうでしょう。全7曲で70分とう構成は『DISTANCE OVER TIME』よりも前に立ち返ったように映り、アルバムのラストに構えるタイトルトラック「A View From The Top Of The World」は20分超えの超大作です。ファンからしたら、若干薄味だった前作よりも「そうそう、これを待っていた!」と言える1枚なんじゃないでしょうか。

リードトラックである1曲目「The Alien」を初めて聴いたとき、僕は9分半の長尺曲にもかかわらず「これはアルバムも期待できそうだ」と感じました。それは、前作よりもメロディラインに響くものが多々見つけられたからにほかなりません。バンドのスリリングなアンサンブルは相変わらず最高の一言ですが、デビュー時から比べたらだいぶ声域の狭まったジェイムズ・ラブリエ(Vo)のボーカルは中音域を軸にしながらも、可能な限り動きのあるメロディラインで曲ごとに変化を付けている。そりゃあメロディの動きは以前ほど大きなものではありませんが、それでも(前作のレビューで例えに挙げたDEEP PURPLEの)イアン・ギランと比べたらかなり健闘しているほうじゃないかなと(いや、近年のイアンはかなり良いんですけどね)。

要は、ここ数作はバンドの演奏力に対してボーカルが釣り合っていなかったけど、今作ではようやくそれに見合うバランス感を見つけることができた。だから全体を通して飽きずに楽しむことができるのかな、と思いました。無理に短い曲で勝負するより、歌割りが少なくなろうとも長尺曲で勝負し、なんならボーカルすらも曲の演出に徹する。それくらい割り切ったほうが今のDTは突き抜けられるんじゃないか……本作を聴いてそう確信しました。

2ndシングルとして先行配信された「Invisible Monster」や「Sleeping Giant」で耳にすることができる往年の輝きに匹敵するアンサンブルを筆頭に、これぞDT!と言える楽曲ばかりが詰め込まれた今作。ポップサイドを象徴する「Transcending Time」ではジェイムズのボーカルワーク(および歌メロ)も現時点でのベストと言えるものだと思いますし、「Awaken The Master」でのジョン・ペトルーシ(G)による重低音リフのカッコよさ、そして「A View From The Top Of The World」での圧倒感など、我々がDTに求める要素がしっかり揃っている。原点回帰という言葉は、むしろ今作のほうがぴったりなんじゃないでしょうか。アンディ・スニープによる際立ったミックス含め、ここ数作の中ではもっとも好きな1枚です。

 


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