MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)
2021年10月1日にリリースされたMINISTRYの15thアルバム。
前作『AMERIKKKANT』(2018年)から約3年半ぶりの新作。前作は当時のドナルド・トランプ政権に対するアメリカへの怒りがそのまま作品として昇華されていました。では、当時と状況が大きく変化した現在、アル・ジュールゲンセン(Vo, G)はどんな思いを抱え、表現の源泉としているのでしょう。
プレスリリースには、本作に対して「トランプも退陣し、民主党政権となった現在のアメリカで、アルは何を思うのか。彼によれば、『道徳的衛生』と題された本作は、『怒りよりも教訓的な内容』になっているとのこと。レーガンが新自由主義を掲げると、強欲が美徳となった。人々は他人を顧みず、自分のことだけを考えるようになってしまった。今こそ、そんな世の中を変える時だ。我々が必要としているのは『道徳的衛生』なのだ。そんなメッセージが、おなじみのミニストリーのヘヴィなビート乗って、紡ぎ出されていく」との説明があります。作品のテーマは前作での怒りとは異なるものですが、世界を変えようとする彼の意思はまったくブレておらず、そのへんが過去作の延長線上にある作風にて表現されているように感じます。
確かに前作ほどストレートなアングリー感はありませんが、それでもMINISTRYらしいご機嫌のヘヴィなインダストリアルサウンドは健在。従来の作品を楽しんできたファンなら問答無用で楽しめる内容と言えるでしょう。ここ数作で再び復活した「TV」シリーズの新曲「TV Song #6 (Right Arount The Corner Mix)」も収録されていますしね。
ゲストミュージシャンも相変わらず豪華の一言。「Sabotage Is Sex」では元DEAD KENNEDYSのジェフ・ビアフラ(Vo)が、いかにも彼らしいボーカルを披露しており、イギー・ポップ率いるTHE STOOGESの名曲「Search And Destroy」のインダストリアル風カバーではビリー・モリソン(G/ビリー・アイドル、ex. THE CULTなど)が豪快なギタープレイを聴かせてくれます。このほか、プロフェッサーXことアラビアン・プリンス(DJ)がオープニングトラック「Alert Level」が参加しているほか、ロイ・マイヨルガ(Dr/STONE SOUR)、デイヴィッド・エレフソン(B/ex. MEGADETH)などの名前を見つけることもできます。
個人的には「ちょっとユルいかな……」と感じる場面もある1枚で、正直言え均的、いかにも普通な仕上がりなんですよ。全体的に楽曲1つひとつがコンパクトなのもそうですし、ちょっと薄味かな、と。それはこのバンド/ユニットに対する期待値が、常に一定水準以上のものを求めてしまっているからなのかもしれません。特に、サウンドに関してはもはや新しいテイストを求めていないような気もしますし(もちろん、MINISTRYという存在にとってはそれが正解かもしれませんが)。
となると、このバンドにとっての正解は、やはり歌詞やメッセージ、姿勢、体制で作品の真価を問うことなのかな。こと日本人にとっては、そのへんを深く理解するにはちょっと難しいのかもしれませんが(対訳だけでは伝わらない、英詞から垣間見えるものもありますし)、そのへんも含めしっかり評価できるようになりたいなと、個人的には考えています。
なので、音的には70点、メッセージ性を含めてプラス15点くらいの内容かな、と。あくまで個人的観点ですが。
▼MINISTRY『MORAL HYGIENE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
« LITURGY『ORIGIN OF THE ALIMONIES』(2020) | トップページ | ASKING ALEXANDRIA『SEE WHAT'S ON THE INSIDE』(2021) »
「Megadeth」カテゴリの記事
- MEGADETH JAPAN TOUR 2023@日本武道館(2023年2月27日)(2023.02.28)
- MEGADETH JAPAN TOUR 2017 – Special Guest ANTHRAX@Zepp DiverCity(2017年5月18日)(2017.05.20)
- MEGADETH『DELIVERING THE GOODS』(2023)(2023.02.27)
- MEGADETH『THE SICK, THE DYING... AND THE DEAD!』(2022)(2022.10.26)
- BODY COUNT『BLOODLUST』(2017)(2022.06.24)
「Stone Sour」カテゴリの記事
- 2002年4月〜2003年3月発売の洋楽アルバム20選(2023.01.09)
- DUB WAR『WESTGATE UNDER FIRE』(2022)(2022.08.06)
- KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016)(2022.05.26)
- COREY TAYLOR『CMFB...SIDES』(2022)(2022.03.20)
- MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)(2021.10.02)
「Ministry」カテゴリの記事
- MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)(2021.10.02)
- ELLEFSON『NO COVER』(2020)(2020.11.21)
- INTER ARMA『GARBERS DAYS REVISITED』(2020)(2020.07.18)
- STATIC-X『PROJECT REGENERATION VOL.1』(2020)(2020.07.12)
- MINISTRY『ΚΕΦΑΛΗΞΘ(PSALM 69)』(1992)(2020.01.12)
「Cult, the」カテゴリの記事
- MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)(2021.10.02)
- SLASH『SLASH』(2010)(2020.04.28)
- THE CULT『CEREMONY』(1991)(2020.03.27)
- banned songs of US radio after 9.11(2020.01.02)
- THE CULT『ELECTRIC』(1987)(2017.09.22)
「Billy Idol」カテゴリの記事
- MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)(2021.10.02)
- BILLY IDOL『REBEL YELL』(1983)(2018.04.29)
- とみぃ洋楽100番勝負(43)(2004.10.01)
「Dead Kennedys」カテゴリの記事
- BODY COUNT『BODY COUNT』(1992)(2022.06.23)
- MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)(2021.10.02)
- V.A.『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』(2004)(2004.05.05)
- DEAD KENNEDYS『FRESH FRUIT FOR ROTTING VEGETABLES』(1980)(2005.03.29)
「David Ellefson」カテゴリの記事
- BLACK SABBATH / OZZY OSBOURNE: BACK TO THE BEGINNING(2025年7月5日)(2025.07.06)
- MINISTRY『MORAL HYGIENE』(2021)(2021.10.02)
- MEGADETH『UNPLUGGED IN BOSTON』(2021)(2021.08.21)
- SEPULTURA『SEPULQUARTA』(2021)(2021.08.13)
- ELLEFSON『NO COVER』(2020)(2020.11.21)
「2021年の作品」カテゴリの記事
- DEEP PURPLE『TURNING TO CRIME』(2021)(2022.07.25)
- STEVE CONTE『BRONX CHEER』(2021)(2022.06.12)
- nothing, nowhere.『TRAUMA FACTORY』(2021)(2022.06.10)
- WHILE SHE SLEEPS『SLEEPS SOCIETY (SPECIAL EDITION)』(2022)(2022.06.06)
- ERRA『ERRA』(2021)/『ERRA (DELUXE EDITION)』(2022)(2022.04.27)