CRADLE OF FILTH『EXISTENCE IS FUTILE』(2021)
2021年10月22日にリリースされたCRADLE OF FILTHの13thアルバム。
前作『CRYPTORIANA – THE SEDUCTIVENESS OF DECAY』(2017年)から4年ぶりという、過去最長のスパンで届けられた本作。リンゼイ・スクールクラフト(Female Vo, Narration)に代わりアナベル・イラトニ(Key, Female Vo, Iyre)が加入しての1作目となります(近作ではメンバーチェンジが続いていたので、これも恒例行事のひとつと言えますが)。
これまでの彼らのアルバム同様、本作もコンセプチュアルな作風で、プレスリリースによると「『存在することは虚しい』というタイトル通り、必ず死に直面しなくてはならない我々の存在というものを、ひたすらシンフォニックなオーケストレーション、クワイヤ、そしてダニ・フィルス(Vo)のドラマチックな語りで描いていく」内容とのこと。前作がこれまでの総決算的なテイストだったのに対し、今作はひたすらダークさにこだわった1枚と言えるでしょう。
ブラックメタルをベースにしつつも、オーケストラやクワイヤをフィーチャーすることでシンフォニックメタルの側面も非常に強く、ダニのスクリーム以上にメロウな要素(シンフォニックな味付け+アナベルの女性Voなど)が強いことから、この手のバンドの作品にしてはかなり聴きやすいほうだと思います。バンド演奏においてはドラムのブラストビートやギターの痙攣リフなど、ブラックメタルに必要不可欠なテイストしっかり軸として残しているものの、早くからブラックメタルを逸脱して独自のスタイルを築き上げてきた存在だけに、今さらこのアルバムをブラックメタルの枠で括って語るのもおかしな話ですが。
また、アレンジにおいては全体的にクラシカルな正統派メタルのテイストも強まっております。そういった楽曲においてはダニのボーカルが(本来はメインにも関わらず)良いアクセントとなっており、メロディアスなギターソロ(「Discourse Between A Man And His Soul」でのツインリードはお見事!)を結果的に引き立てる要素にもなっています。もはや「本来は何を聴かせたかったんだっけ?」と本末転倒な点もあるものの、このバンドの場合ダニはボーカル云々よりもストーリーテラー的立ち位置のほうが似合っているので、これは結果オーライではないでしょうか。
全12曲中1〜2分程度のインタールードが3曲含まれており、トータルで57分程度。コンセプトアルバムのわりには聴きやすい尺で、そのダークさ、メランコリックさと相まって集中して楽しめる1枚です。なお、フィジカルのデラックス版およびデジタル版にはボートラ2曲が追加され、全14曲で70分という長尺に。ボートラはあくまでオマケとして受け取って、ありがたく聴くもよし、飛ばすもよし(え?)。本作の延長線上にある2曲だとは思いますが、まずは潔く12曲だけでこのアルバムの世界にじっくり浸ってみることをオススメします。
▼CRADLE OF FILTH『EXISTENCE IS FUTILE』
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