KHEMMIS『DECEIVER』(2021)
2021年11月19日にリリースされたKHEMMISの4thアルバム。
Nuclear Blast Records移籍作となった前作『DESOLATION』(2018年)から約3年半ぶりの新作。これが日本デビュー作となります。KHEMMISは2012年から活動する米・コロラド州デンバー出身のドゥームメタルバンドで、今年に入りダニエル・バイヤー(B)が脱退したことで現在はベン・ハッチャーソン(G, Vo)、フィル・ペンダーガスト(G, Vo)、ザック・コールマン(Dr)の3人組に(本作のレコーディングではベンがベーシストも兼任)。ザックはデス/ブラックメタルバンドBLACK CURSEのメンバーでもあり、マックス・カヴァレラ(SOULFLY、ex. SEPULTURAなど)のプロジェクトGO AHEAD AND DIEのアルバム『GO AHEAD AND DIE』(2021年)にも参加するなど、その界隈ではよく知られたプレイヤーです。
さて、そんな彼らの日本デビュー作ですが、ドゥームメタルと聞いて一瞬及び腰になった方にこそ聴いてもらいたい1枚。全6曲で42分、7〜8分台の楽曲が大半を占めますが、終始スローで引きずるような楽曲というわけではなく、例えばオープニング曲「Avernal Gate」でのアッパーでドラマチックな展開や「Living Pyre」でのエピカルなアレンジなど、1曲1曲における起承転結がはっきりした構成が持ち味のひとつ。そのテイストはどちらかというと正統派ハードロックのそれに近いものがあり、グロウルを取り入れつつも朗々と歌い上げるボーカルスタイルもオーソドックスなメタルそのものといえます。
ドゥームの枠で括られたバンドではありますが、どちらかというとMASTODONやGOJIRAあたりと比較されるべき存在なのかなという気がします。要所要所にツインリードをフィーチャーしていたり、緩急に富んだドラマチックな曲構成にはプログメタル的な色合いももつけられる。また、曲によってはグランジ……特にALICE IN CHAINSからの影響が伝わってくるのも印象的でした。
ドゥームメタルを基盤にしつつ独自の進化を重ねてきた結果、今のスタイルに到達したのは、時代を考えると必然だったのかなという気もしてきます。ただヘヴィでオルタナティヴな存在であるだけではなく、しっかりど真ん中=メインストリームも捉えている。このハイブリッド感こそ、これからのシーンに求められる強さなのかなと、このアルバムを聴いて感じました。
先にも書いたように、本作はドゥームメタルに対して苦手意識を持っているリスナーにこそ聴いてほしい1枚であり、導入としては最適な良作ではないかと信じています。と同時に、普段プログメタルや正統派ヘヴィメタルを聴いているリスナーにもリーチするでしょうし、エクストリームメタル愛好家にも引っかかるはず。そんな大きな可能性を秘めた、2021年らしい良作です。
▼KHEMMIS『DECEIVER』
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