L.A. GUNS『CHECKERED PAST』(2021)
2021年11月12日にリリースされたL.A. GUNSの13thアルバム。
今年7月に発表されたライブアルバム『COCKED AND LOADED LIVE』に続く今作は、『THE DEVIL YOU KNOW』(2019年)から2年8ヶ月ぶりのオリジナルアルバム。その期間にはスティーヴ・ライリー(Dr)&ケニー・ニケルス(B)バージョンのL.A. GUNSによるアルバム『RENEGADES』(2020年)もありましたが、こちらはトレイシー・ガンズ(G)&フィル・ルイス(Vo)バージョン。どっちが本家だとか分家だとかないでしょうけど、やはりバンドの創始者であるトレイシーとバンドの顔(=声)であるフィルが在籍するこちらのほうが本家っぽいですよね。
トレイシーのバンド復帰3作目となる今作。基本的には前2作の延長線上にある作風で、適度にハードで適度にパンキッシュという初期の彼ららしさが伝わる内容に仕上がっています。スピードチューン「Cannonball」で派手に飾ったかと思うと、怪しげなミドルチューン「Bad Luck Charm」、グラマラス&スリージーなロックンロール「Living Right Now」と曲ごとに表情を変えていく。しかし、全体を通して一環しているのは先にも挙げた「適度にハードで適度にパンキッシュ」という痒いところに手が届く感。おそらくリスナーがL.A. GUNSというバンドに求める要素は、この冒頭3曲だけで完璧かと思います。
ところが、そこからサイケデリックなアコースティックロック「Get Along」、ダークなメタルバラード「If It's Over Now」で少し様相が変わっていく。これも2ndアルバム『COCKED & LOADED』(1989年)や3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』(1991年)あたりで見せていたスタイルであり、先の「適度にハードで適度にパンキッシュ」だけでは収まりきらないバンドの創作欲の表れなのかなと思いました。
全体を通してフィルが以前ほどハイトーンで叫ぶような曲がなく、全体的に中音域中心で穏やかに歌うこともあり、楽器隊のテンションの高の演奏にわりにクールすぎやしないかというチグハグさも、あったりなかったり。まあこのへんは加齢によるものが大きいと思うので、仕方ないのですが。
そんなモヤモヤを感じていると、アルバムは中盤のメタルチューン「Better Than You」で再び空気が激変。まあこの曲のボーカルもトーン抑えめなんですけどね(笑)。以降も緩急に富んだ楽曲がずらりとならび、最後まで飽きさせることなく聴き手を夢中にさせてくれます。
楽曲のバラエティ豊かさは1stアルバム『L.A. GUNS』(1988年)というよりは、そのあとの『COCKED & LOADED』と『HOLLYWOOD VAMPIRES』をベースにしているのかな。ただ、バンドのテンション感は明らかに1stアルバムに倣ったもので、それが「適度にハードで適度にパンキッシュ」につながっていく。結局、このバンドのベースになるものは初期3作で完成されたということなのかもしれません(視点を変えれば、それ以降の実験はある意味失敗だったとも受け取れますが)。
アルバムを聴いたときのインパクトはトレイシー復帰作の『THE MISSING PEACE』(2017年)には及ばず、作品を重ねるごとに“置きにいっている”感が強まっている気がしないでもありません。が、楽曲の完成度は間違いなく過去2作以上。バランスの取り方が難しいところではありますが、今作はデビューから30数年経った彼らが到達した、“大人のスリージー・ハードロック”のひとつの在り方なのかもしれませんね。そう捉えると、非常に完成度の高いハードロックアルバムだと断言できます。
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