THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY (30TH ANNIVERSARY EDITION)』(2021)
2015年7月23日にリリースされた、THE QUIREBOYSの1stアルバム『A BIT OF WHAT YOU FANCY』(1990年)のリ・レコーディング・アルバム。日本盤未発売。
リリース30周年を記念して制作された本作は、オリジナル盤収録の12曲を現メンバーで再録音し、ボーナストラックとして「Man On The Loose」「Mayfair」のライブテイク(ともに2019年発売のライブアルバム『35 & LIVE』音源)を加えた計14曲収録。レコーディングメンバーはスパイク(Vo)、ガイ・グリフィン(G)、ポール・ゲラン(G)、キース・ウィアー(Key)、ニック・モーリング(B)という布陣。ニックは2014年から参加しているもののサポートメンバー扱いで、本作ではドラムのプログラミングも担当しているようです。
オリジナル盤は1990年というハードロック黄金期に制作された、録音など多額の資金が用意されていたことが窺えるサウンドプロダクションでした。良く言えば派手、うがった見方をすればゴージャスすぎて本質が薄れてしまっている。しかし、あれから30年を経て再録音された本作は、生々しさが全面に打ち出された、まさに“この曲/音楽にこの音”と言わんばかりのマッチした質感でまとめられています。
年季の増したスパイクのボーカルといい、味わい深さがより増した演奏といい、加齢とともに向上した表現力が最良の形で形となった1枚。もちろんオリジナル盤への思い入れは相当強いものがありますが、この再録盤を聴いてしまうと「やっぱりこういう音楽には、こういう表現だよな」と思わずにはいられません。
「Hey You」のように、曲によってはキーを下げられたものもありますが、基本的なアレンジはオリジナルに沿ったもの。時代を経たからといって変にいじることもなく、初出時のアレンジがすべてと言わんばかりの開き直りっぷりにも感心します。THE ROLLING STONESやロッド・スチュワートのようなアーティストが歳を重ねるごとに芳醇さが強まっていくのと同じように、このバンド、このアルバムも同様の深化を続け、原点を再現することでその深みをよりわかりやすく体感することができる。そんな1枚に仕上がったのではないでしょうか。
残念なのは、ドラムトラックのみか。前作『AMAZING DISGRACE』(2019年)のときにも感じましたが、この手のサウンドにしてはドラムの音が硬すぎるんですよね。特に今回はプログラミングによるものだと思いますが、もうちょっと軽やかで抜けの良いドラムでもよかったような気がします(このへんはもはや好みの問題かもしれませんが)。
改めて再録されたアルバムを聴いても、本作が1990年にリリースされていようが今年の音で発売されていようが、あるいは1973年に当時の質感で発売されていたとしても、まったく違和感のない曲/音だということ。初出時から30年以上経った今演奏されてもそう感じるんだから、彼らの勝利は30年前にはすでに決まっていたんでしょうね。
▼THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY (30TH ANNIVERSARY EDITION)』
(amazon:海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
« 楠木ともり『narrow』(2021) | トップページ | THE QUIREBOYS『BITTER SWEET & TWISTED』(1993) »
「Quireboys, the」カテゴリの記事
- THE QUIREBOYS『BITTER SWEET & TWISTED』(1993)(2021.11.14)
- THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY (30TH ANNIVERSARY EDITION)』(2021)(2021.11.14)
- DOWN 'N' OUTZ『THIS IS HOW WE ROLL』(2019)(2019.11.26)
- THE QUIREBOYS『AMAZING DISGRACE』(2019)(2019.06.18)
- THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY』(1990)(2017.06.06)
「2021年の作品」カテゴリの記事
- DEEP PURPLE『TURNING TO CRIME』(2021)(2022.07.25)
- STEVE CONTE『BRONX CHEER』(2021)(2022.06.12)
- nothing, nowhere.『TRAUMA FACTORY』(2021)(2022.06.10)
- WHILE SHE SLEEPS『SLEEPS SOCIETY (SPECIAL EDITION)』(2022)(2022.06.06)
- ERRA『ERRA』(2021)/『ERRA (DELUXE EDITION)』(2022)(2022.04.27)