MR. BUNGLE『MR. BUNGLE』(1991)
1991年8月13日にリリースされたMR. BUNGLEの1stアルバム。日本盤は『オペラ座の変人』の邦題で、同年10月10日発売。
FAITH NO MOREのフロントマン、マイク・パットン(Vo)が同バンド加入前の1985年から在籍していたエクスペリメンタル・ロックバンド。4つのデモ音源集を1986〜89年の間に発表したのを経て、1991年にこのセルフタイトルアルバムにてWarner Bros. Recordsからメジャーデビューしています。
当時のメンバーはマイク(Vo, Key)、トレイ・スプルーアンス(G, Kye)、トレヴァー・ダン(B)、ダニー・ハイフェッツ(Dr, Trumpet)、クリントン・マッキノン(Tenor Sax)、テオ・レンジェル(Alto Sax)の6人。アルバムのプロデュースはNAKED CITYやPAINKILLERとしても活動した前衛音楽家およびサックスプレイヤーのジョン・ゾーンが担当。その事実だけでどんな奇天烈な音楽に挑んでいるか、想像が容易いと思います(笑)。
時期的にはFAITH NO MORE加入後最初のアルバム『THE REAL THING』(1989年)での大ブレイク後、次作『ANGEL DUST』(1992年)制作前といったところでしょうか。ミクスチャーロックの割に品が良すぎる『THE REAL THING』に堅苦しさを覚えたマイクが、その鬱憤を晴らすが如く好き放題やったのがMR. BUNGLEのアルバムなのかな。そう考えると、このおもちゃ箱みたいな内容も納得がいくのではないでしょうか。
「Quote Unquote」でのエッジの効いたギターサウンドにこそFAITH NO MOREの片鱗を見つけることができるものの、基本的には奇想天外なアレンジの数々で構築された、先の読めない展開の楽曲群が軸。闇の遊園地という例えばぴったりなダークさ&変態性は、アバンギャルドでプログレッシヴでジャジーでポップと、ひとつのジャンルで括るのが難しいもの。10分超の「Egg」みたいに1曲の中でコロコロ展開していく構成、普通に歌っていたかと思えばデス声が聞こえてきたりするボーカルワークなど、真顔で聴くのが馬鹿馬鹿しくなるのではないでしょうか。
1991年当時、ミクスチャーといえばメタルなどラウドな音楽にファンクやヒップホップの要素を加えたものが大半でしたが、だからこそMR. BUNGLEのスタイルはミクスチャーの一言では片付けられないほどに強烈なものがありました。これはもう、実験音楽という呼び方でいいんじゃないか、アルバム自体が実験室みたいなものなんじゃないか、と当時は思ったものです。
ですが、MR. BUNGLEの本気はこんなものじゃなかった。彼らが本領発揮するのは続く『DISCO VOLANTE』(1995年)からだったと気づくのは、もっとあとになってからでした。
リリースから30年経った今聴いても、本作の難解度は異常なものがあり、その衝撃はまったく色褪せていないどころか、さらに高まっているような気すらしてきます(それは次作『DISCO VOLANTE』然り、3rdアルバム『CALIFORNIA』(1999年)然りですが)。そう考えると、昨年発表された21年ぶりの新作『THE RAGING WRATH OF THE EASTER BUNNY DEMO』(2020年)のわかりやすいことよ(苦笑)。
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