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2021年11月30日 (火)

STING『TEN SUMMONER'S TALES』(1993)

1993年3月9日にリリースされたスティングの4thアルバム。日本盤は同年2月28日に先行発売。

実の父親の死と直面したこともあり、内省的で重苦しさも感じられた前作『THE SOUL CAGE』(1991年)から2年ぶりの新作は、正反対で陽気な作風。スティング(Vo, B)のほか、ドミニク・ミラー(G)、ヴィニー・カリウタ(Dr)、デヴィッド・サンシャス(Key)という布陣を軸に制作されたこともあってか、非常にバンド感の強い内容に仕上がっています。

THE POLICE時代を彷彿とさせる大きなノリのポップロック「If I Ever Lose My Faith In You」を筆頭に、そのタイトルからもわかるようにマカロニウェスタンをパロったカントリーロック「Love Is Stronger Than Justice (The Munificent Seven)」と、頭2曲だけでも過去3作とは異なるテイストであることが伝わります。特にジャズに系統した初期2作からは想像もできないポップさは、ある意味THE POLICE時代からの続きが描かれているようにも映ります。

その考えは「Field Of Gol」や「Seven Days」などといったポップ色の強い楽曲で、さらに確信へと変わります。かと思えば、初期作の延長線上にあるアレンジの「Heavy Cloud No Rain」もあるのですが、楽曲のスタイル自体はロックンロールのフォーマットにあり、このあたりからもスティングが本作で何を示したかったのかがご理解いただけるはずです。

ブギー調の「She's Too Good For Me」、変拍子を用いた「Saint Augustine In Hell」などは“もしTHE POLICEが90年代まで続いていたら”なんて想像してしまいたくなる作風だし、「Everybody Laughed But You」はTHE POLICEからソロを経て再びバンドに戻ったら……なんてこともイメージしたくなる仕上がり。さらに、アルバムのエンドロール的な「Epilogue (Nothing 'Bout Me)」の軽やかさ含め、本当に終始聴きやすいアルバムなんですよね。

また、本作には映画関連の楽曲が2曲含まれており、それもあって認知度がある程度高い作品かもしれません。その中でも「Shape Of My Heart」は映画『レオン』のエンディングで印象的な使われ方をしたこともあり、特に日本のリスナーの中にはこのアルバムがお気に入りという方が少なくないはずです。

楽曲のポップさはさることながら、それを巧みなアレンジ&演奏で支えるバンドエンバーの才能には驚かされるばかり。同作を携えた来日公演、僕も当時日本武道館に足を運びましたが、ヴィニー・カリウタのドラミングの素晴らしさや、ドミニク・ミラーのギタリストとしての多才さに圧倒されたことをよく覚えています。そりゃあこの2人、続く『MERCURY FALLING』(1996年)でも続投するわけです(ドミニクに至っては『THE SOUL CAGE』から3作連続なので、もはや片腕的存在でしょうしね)。

ソロ1作目『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985年)に若干の敷居の高さを覚え、なおかつTHE POLICE時代のテイストを求めるのであれば、本作は入門編としてうってつけの1枚だと断言します。スティングのソロキャリアにおいても、もっとも間口が広くて奥がドロドロ(笑)な1枚ですしね。

 


▼STING『TEN SUMMONER'S TALES』
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