RADIOHEAD『KID A MNESIA』(2021)
2021年11月5日にリリースされたRADIOHEADのリイシュー/コンピレーション作品。
本作は『OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017』(2017年)に続くリイシュー企画第2弾で、『KID A』(2000年)と『AMNESIAC』(2001年)というほぼ同時期に制作された2枚の重要作と、この2作の制作期間に生み落とされたアウトテイクの数々をひとまとめにしたCD 3枚組作品集。ギターロックという雛形を排除して、音楽ジャンル的にもカテゴライズ不能な多彩さが溢れ出した転換期に制作されたこの2枚は、その内容の難解さにも関わらずリリースから20年経った現在も高く評価されることが多く、“RADIOHEADといえば「Creep」”といった初期のイメージを完全に払拭させることに成功した記念碑的2作品です。
そんな『KID A』と『AMNESIAC』本編に関しては、前者はリリース当時の2000年9月に、後者はだいぶ時間の空いた2017年8月に、それぞれレビューを執筆しているので、内容についてはそちらに譲ります。20年経った今聴いても、時代がこの2枚に追いついたのかどうか正直疑問ですが、2021年に聴いてもしっかり新鮮な気持ちで楽しめるということは、そういうことなんでしょう。
今回特筆すべきは、DISC 3に収められたアウトテイクの数々ではないでしょうか。海外盤/ストリーミングでは12曲、日本盤のみボーナストラックとして本編未収録のカップリング5曲を追加した17曲を収めたこの『KID AMNESIAE』と題されたディスク。インタールード的な楽曲の断片も含まれていることから34分と比較的短尺ですが(日本盤は5曲追加で53分まで拡張)、リードトラックとして先行配信された「If You Say The Word」「Follow Me Around」などアルバム本編に収められていても何ら違和感のない、非常に完成度の高い未発表曲も含まれています。ただ、これら2曲はどちらかというとまだ『OK COMPUTER』(1997年)の延長線上にある作風でもあり、それもあってアルバムから外されたのかなという気もします(後者は1998年のライブリハーサルで演奏されている映像も残っていますし)。
そのほか、アルバム収録曲の別テイクも完全に別モノといった仕上がりですし、12曲通して聴くとひとつのアルバムとしての統一感も伝わる。『KID A』や『AMNESIAC』での世界観を踏襲しつつ、その延長線上に生まれたスピンアウト的新作としては十分な内容ではないでしょうか。
だからこそ、日本盤ボーナストラックとして追加された5曲は蛇足かな?という印象も。どれも「Pyramid Song」「Knives Out」のシングルに収められていた楽曲群ですが、お尻に追加されることでアルバムとしての流れを削ぐものになってしまっているので、ひと呼吸置いてから聴くのがベストかも。もちろん、これら5曲も同じセッションから生まれた兄弟なので、まったく別世界ということはないのですが、流れを大切にして聴くのなら……ということで(そう言いながらも、すべてのシングルを所持しているにも関わらず「ボーナストラック」の一言に弱い僕は日本盤CDを購入してしまったわけですが。苦笑)。
RADIOHEADがこの手のリイシュー企画を、1stアルバム『PABLO HONEY』(1993年)や次作『THE BENDS』(1995年)を飛ばして、『OK COMPUTER』から始めた事実。今のバンドの成り立ちを考えると、非常に納得できるものがあります。でも、この初期2作を振り返る企画盤にも(できることなら世に出ていないアウトテイク含めて)期待してしまっている自分がいます。まあ考えられない未来だとは思いますが……。あと、同様に6作目『HAIL TO THE THIEF』(2003年)以降の作品でのこうしたリイシュー企画もちょっと考えられないかな、と。それだけ『OK COMPUTER』や『KID A』『AMNESIAC』の3枚がRADIOHEADのみならず、音楽シーンに与えた影響が想像を絶するものだったからこその、こうした企画だと思いますしね。
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