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2021年11月27日 (土)

OVERKILL『HORRORSCOPE』(1991)

1991年9月3日にリリースされたOVERKILLの5thアルバム。日本盤は同年9月25日発売。

前作『THE YEAR OF DECAY』(1989年)から約2年ぶりの新作。同作を携え、1990年には初来日公演も実現しています。傍目には好調に見えましたが、一方でオリジナルメンバーのボビー・グスタフソン(G)が脱退するトラブルにも見舞われます。

ボビーの穴を埋めるべく、バンドは新メンバーとしてメリット・ギャント(G)とロブ・キャナヴィーノ(G)を迎え、初のツインギター編成でレコーディングに突入。テリー・デイト(METAL CHURCHDREAM THEATERSOUNDGARDENPANTERAなど)を再度プロデューサーに迎え、前作以上にテンション&純度の高いヘヴィメタルアルバムを完成させます。

オープニングを飾る「Coma」はスラッシュメタルにありがちな、スローパートからアップテンポへと展開していく構成を持つ王道の1曲。スピードは若干抑え気味ですが、彼ららしさの伝わる良曲ではないでしょうか。ツインギター編成になったことの影響は、随所にツインリード的フレーズが散りばめられたことくらいかな。レコーディングはオーバーダビングがあるので、この影響はライブに大きく反映されるのかな。

「Coma」はあくまで序章に過ぎず、このアルバムが本領発揮するのは2曲目「Infectous」以降かな。OVERKILLらしい狂ったスピード感に満ちたこの曲を経て、「Blood Money」「Thanx For Nothin'」「Bare Bones」とファストナンバー連発。いいぞ、もっとやれ(笑)。このパートでは、特に「Bare Bones」の序盤アレンジが聴きどころ。ピアノの独奏で不穏さを演出してからのクレイジーな本編へと続く構成、さすがです。

そこから一転して、アルバムタイトルトラック「Horrorscope」はダークなヘヴィナンバー。次作『I HEAR BLACK』(1993年)でのモダンヘヴィネス化の片鱗を感じさせ、本作の直前にリリースされたMETALLICAブラックアルバムに呼応するような1曲かもしれません。

後半は「New Machine」でアイドリングしつつも、エドガー・ウィンターの名曲カバー「Frankenstein」で再び小休止。少々リラックスモードに入っていたところに、「Live Young, Die Free」で急激にフルスロットル状態に突入し、「Nice Day... For A Funeral」で緩急をつけて、メタルバラード「Soulitude」で締め括る。序盤の飛ばしっぷりを考えると、後半の尻すぼみっぷりに若干萎えるものの、メタルアルバムの構成としては王道感の強いものなのかな、という気がしないでもありません。

トータルバランス的にはこの時点まででのベストと言えるものの、後半にもう1曲くらいバキバキのファストチューンが欲しかったところ。逆に、序盤にあった1曲を後ろに回す構成でもよかったのではないかと思わずにはいられません。

個人的には彼らの初期作品で一番好きなのが3rdアルバム『UNDER THE INFLUENCE』(1988年)なのですが、それと同じものを臨みはしないものの、あれを超えるくらいのスラッシュメタルアルバムが欲しかったなと。そう、先にも書いたように本作は“ヘヴィメタル”アルバムなんです。ヘヴィメタルアルバムとしては文句ないけど、スラッシュメタルアルバムとしてはもう一歩。バンドが転換期を迎えたタイミングの1枚なので、そういう評価になりますよね。このへんはリスナーが本作に何を求めるかで、評価が二分するのかな。

 


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