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2021年12月30日 (木)

SAVATAGE『STREETS: A ROCK OPERA』(1991)

1991年10月4日にリリースされたSAVATAGEの6thアルバム。日本盤は同年11月28日発売。

全米134位まで上昇した前作『GUTTER BALLET』(1989年)から1年10ヶ月ぶりの新作。プロデューサーのポール・オニールが書き下ろした物語に基づいて、メンバーのジョン・オリヴァ(Vo, Key)&クリス・オリヴァ(G)、そしてポールが書き下ろした楽曲で構成されたキャリア初のコンセプトアルバムです。

サブタイトルにもあるように、まさに“ロックオペラ”と呼ぶに相応しい壮大な内容ですが、1曲1曲と単独で取り上げても成立するような作りとなっているので、変に構えることなる接することができるはず。物語自体はニューヨークでドラッグに溺れるミュージシャンを中心に進行しており、そのへんは対訳の付いた日本盤にてしっかり追っていただけると本作の魅力をより深く理解することができることでしょう。

オープニングトラック「Streets」やアルバムからのリード曲「Jesus Saves」のように、ジョン・オリヴァのしゃがれ声が生かされたメタルチューンもあれば、ドラマチックな「Tonight He Grins Again」、どことなくAOR的な軽やかさも伝わる「Strange Reality」や「You're Alive」、ブギーっぽいノリを持つアップチューン「Sammy And Tex」、吟遊詩人という表現がぴったりハマるピアノバラード「A Little Too Far」や「Believe」と、とにかくバラエティに富んだ内容。しかし、これらがバラバラに並ぶわけではなく、ちゃんとひとつの流れを作りながらうねうねと進行していくのです。

ジョンのボーカルは好き嫌い分かれるタイプかもしれませんが、幅の広い楽曲群を巧みに歌いこなしており、結果としてこの人でなければ成立しないことが実感させられる。パワフルな特に「St. Patrick's」や「Can You Hear Me Now」のようにオペラと呼ぶに相応しい楽曲や、先のバラード群のようなスローナンバーでこそ彼の味わい深いボーカルは効果を発揮。歌唱力で感動させるとかそういう形ではなく、歌から伝わる熱で聴き手の心を動かす、そういうタイプの歌い手だなと改めて実感させられます。

そして、何より素晴らしいのがクリス・オリヴァのギタリストとしての非凡さ。リフワークはもちろんですが、そのメロディアスなフレーズの組み立て方や感情のアップダウンを表したフレーズングの数々は特筆すべきものがあり、これぞギターヒーローと呼ぶに相応しいプレイヤーだなと思うはず。しかし、実際には彼がメジャー進出したタイミングやこうした名盤が1991年という時代に発表されたことから、思うほどの評価を得ることはできませんでした。

事実、この大作はBillboard 200にチャートインすることなく、Billboard Heatseekers Albumsで最高31位を記録したのみ。続く『EDGE OF THORNS』(1993年)ではジョンは一度表舞台から退き、新たなシンガーにザッカリー・スティーヴンスを迎えます(ジョンは作曲やプロデュース、キーボーディストとしてレコーディングに参加)が、同作リリースの半年後となる1993年10月、クリスは交通事故でこの世を去ってしまいます。

ジョン&クリスのオリヴァー兄弟が全面的にフロントメンバーとして活動した作品は、この『STREETS: A ROCK OPERA』が最後。そういった事実もあってか、クリスの墓石には「Believe」の一節が刻まれているんだとか。また、クリス逝去後にはOVERKILLが当時の最新作『W.F.O.』(1994年)にトリビュートソング「R.I.P. (Undone)」を書き下ろし、VICIOUS RUMORSは『WORD OF MOUTH』(1994年)、TESTAMENT『LOW』(1994年)をクリスに捧げています。

まあ、そうした事実は差し置いても、本作は1991年のHR/HMシーンにおいて絶対に欠かすことのできない1枚だと断言したい。時代が違っても大きなヒットにつながる内容ではないかもしれないけど、メタルリスナーにとっては絶対に押さえておきたい1枚です。

 


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