IMMINENCE『HEAVEN IN HIDING』(2021)
2021年11月26日にリリースされたIMMINENCEの4thアルバム。日本盤未発売。
前作『TURN THE LIGHT ON』(2019年)から約2年半ぶりの新作。過去2作は日本盤も発売されましたが、移籍などないにもかかわらず本作の国内リリースは現時点で見送り。ぶっちゃけ、過去2作を優に超える力作だけに、残念でなりません。
ドラマチックなポストハードコアサウンドという点においては、デビュー作『I』(2014年)から一貫しているものの、世界デビュー作となった2ndアルバム『THIS IS GOODBYE』(2017年)でのポストロック方向への接近、続く『TURN THE LIGHT ON』でのポスト・モダンメタルバンドのさらなるモダン化を経て届けられた今作は、良い意味で前作をより進化/深化させた内容。ドラマチックさやメロディアスさはもちろんのこと、エッジの効いたヘヴィサウンド、ポストロックを思わせる風味、わかりやすさとマニアックさが適度なバランスで入り混じった、ライト層にもコア層にも十分にアピールする1枚と言えるでしょう。
BRING ME THE HORIZON以降のモダンさ、それをさらに推し進めたARCHITECTSの方向性の延長線上にあるスタイルは、よりモダン化した最近のポストハードコア/メタルコアを象徴するようなもので、人によっては「またこれか……」と食傷気味になるかもしれません。しかし、このバンドの場合そういった先人たちとは一線を画する個性が用意されています。それが、エディ・ベイル(Vo, Violin)によるバイオリン。「Ghost」を筆頭に、各楽曲のさまざまなポイントにフィーチャーされたバイオリンは独特な魅力を放っており、このバンドの個性を確立させることに一役買っています。
例えば、「Moth To A Flame」のようなシンフォニック調のモダンメタルサウンドにバイオリンの短いソロフレーズが乗るだけでも、「おおっ!?」と惹きつけられるものがある。どの楽曲も平均点以上の完成度を誇るものだけに、そこにプラスアルファの要素が加わるだけでも、その点数はかなり上がるのではないでしょうか。
かと思えば、ピアノの流麗なフレーズをリフにした「Alleviate」の繊細さ/エモーショナルさも大きなフックになっているし、さらにそこにクリーンギターやバイオリンのフレーズが乗ることでより独特な世界観が広がっていく。「Disappear」のギターリフなんて、どことなく日本のヴィジュアル系との共通点も見つけられるし、「Lost And Left Behind」の耽美さもそれに近いものがある。さらに「این نیز بگذرد」(タイトルよ!)の異国情緒漂う質感/アレンジなんて、もはや“その他大勢”とや比べようがないほどの唯一無二さを発揮しているんだから。特にこのあたりの楽曲群が孕む耽美さ、ドラマチックさは日本人にこそ響いてほしい要素。一度耳にしたらスルスルと引き込まれてしまうはずです。
そして1分に満たないバイオリンソロインスト「∞」を経て到達するタイトルトラック「Heaven In Hiding」の美しさといったら……前半の「前作までの彼らのファンを満足させる方向性」と後半で展開される「さらに進化するIMMINENCEの個性」というバランスも絶妙で、すべてにおいて前作超えの良作だと断言できます。
ここ数年、特にコロナ禍以降は海外アーティストの新作日本盤リリースが減っており、フィジカル重視のメタル界隈においてもその姿勢は強まり始めています。今やサブスクを通してでしか出会えない新譜やアーティストも少なくなく、こういった良質なアルバムが見過ごされているような気がしてなりません。このアルバムができるだけ多くのリスナーのもとに届きますように……。
▼IMMINENCE『HEAVEN IN HIDING』
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