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2021年12月 8日 (水)

THE DARKNESS『MOTORHEART』(2021)

2021年11月19日にリリースされたTHE DARKNESSの7thアルバム。

前作『EASTER IS CANCELLED』(2019年)から約2年ぶりの新作。ロック低迷と言われる海外ですが、本国イギリスでのチャートは最高16位と過去最低の順位となっています。もっとも、全英1位を記録したデビュー作『PERMISSION TO LAND』(2003年)以外はどれも10位前後を行ったり来たりなので、結果そんな大きな変化ではないのかな。むしろ、こういう世の中で彼らのようなバンドがTOP20入りするというのは大健闘でしょう。

本作は全9曲/36分程度の通常盤に加え、ボーナストラック3曲を追加した全12曲/45分のデラックス盤の2形態を用意(日本盤はさらに1曲追加の全13曲入り)。世の中の流れ的に比較的コンパクトな方向に移行しつつあるのは、サブスクの影響でしょうか。まあもっとも、80年代以前のロックの多くが10曲前後で40分前後という尺の作品ばかりだったので、原点に戻っただけとも言えますが。

コロナ禍を経て届けられた今作、冒頭を飾る「Welcome Tea Glasage」を筆頭にリードトラック「Motorheart」までの3曲がいつになく荒々しく走りまくっています。おやおや。かと思えば、M-4「The Power And The Glory Of Love」で従来の“らしさ”が強く表出し始め、続く「Jussy's Girl」ではDEF LEPPARDあたりとの共通点も見つけられる王道ブリティッシュロックを展開。M-6「Sticky Situations」ではQUEENからの影響を伝わる、非常にこのバンドらしいミディアムバラードで耳を幸せにしてくれます。

後半に入ると、「Nobody Can See Me Cry」で再び勢い付き、LED ZEPPELINMOTÖRHEADが合体したような豪快さを見せつける。また、「Eastbound」では軽快なロックンロールを展開し、「Speed Of The Nite Time」では彼ららしいオペラパートを中間に用意したダークなロックンロールを高らかに響かせる。その後、デラックス盤ボーナストラックとなる3曲……「You Don't Have To Be Crazy About Me... But It Helps」では本編になかったミドルテンポのパワフルなハードロックを提示し、「It's A Love Thang (You Wouldn't Understand)」ではアコギをフィーチャーした軽やかなポップロックを聴かせ、最後はピースフルなアコースティックバラード「So Long」で締め括る。

ひと通り聴いてみて思ったのは、非常に計算されたロックアルバムだなということ。とにかく聴きやすくて、スルスル聴き進められ、楽しい気持ちが持続していたかと思えば、気づくとエンディングを迎えている。本編9曲だけだと秒に感じられるほどのスピード感を味わえるのですが、やっぱりボートラ3曲を追加したデラックス盤の構成のほうがロックアルバムとしては完成度が高い気がします。

尺の短い通常盤がサブスク仕様なのかと思いきや、サブスクで配信されているのは12曲入りのデラックス盤のほう。通常盤はCDとアナログでしか手に入らないみたい(ということは、むしろバンドの意図は僕の想像とは逆だったのね。なんだかすみません)。

コンセプトアルバムとして制作された前作『EASTER IS CANCELLED』も全10曲/40分弱とコンパクト(デラックス盤は5曲追加で計15曲とボリューミー)でしたが、それに輪をかけてコンパクトで手軽に楽しめる今作は、間違いなくTHE DARKNESSというバンドにとってひとつの到達点ではないでしょうか。ここにきてようやく大ヒットを記録したデビューアルバムを超える傑作を生み出すことができたTHE DARKNESS、今がもっとも旬かもしれませんよ。

 


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