THE BEATLES『THE BEATLES: GET BACK - THE ROOFTOP PERFORMANCE』(2022)
2022年1月28日からストリーミング配信がスタートした、THE BEATLESのライブアルバム。デジタルリリース、およびフィジカルリリースは今のところ予定なし。
本作は1969年1月30日、ロンドンのサヴィル・ロウにあるApple Corps Ltd.本社の屋上で行われた、THE BEATLESの事実上ラストライブの模様を完全収録したもの。昨年秋に公開されたドキュメンタリー映像作品『THE BEATLES: GET BACK』の中にも同シーンは登場しますが、その際にジャイルズ・マーティンとサム・オケルによって初めてステレオ&ドルビーアトモス・リミックスが施されています。
大勢の聴衆が集まってしまったことで警察が介入し、約40分で中断/終了したこの“ルーフトップ・コンサート”と呼ばれるラストライブ。ビートルズにとって人前でライブ演奏を披露するのは、1966年8月29日のサンフランシスコ公演以来2年5ヶ月ぶりのことでした。ここで演奏された全10曲(複数テイクがあるので、実質5曲+英国歌「God Save The Queen」のセッション)はすべてラストアルバムとなった『LET IT BE』(1970年)のセッションから生まれたものですが、スタジオテイクよりも生々しくドライブ感の強い演奏/パフォーマンスは「これぞ“ライブバンド・THE BEATLES”」と呼べるものばかりではないでしょうか。
オープニングを飾る「Get Back」からして重心の低い、うねるようなグルーヴを思う存分に堪能することができる。同曲はテイク3まで収録されていますが、個人的にはポール・マッカートニーのボーカルが冴え渡る一発目のテイクが一番良いかな。以降もジョン・レノン&ポール・マッカートニーのハモリが鳥肌モノの「Don't Let Me Down」や「One After 909」、ロックバンド然としたパフォーマンスの「I've Got A Feeling」「Dig A Pony」と、どれもアルバム音源以上の仕上がりです。
曲間のちょっとしたやりとりや音出しの様子、メンバーの掛け声などもそのまま残されており、ライブアルバムというよりはスタジオセッションの模様をそのまま残したような音源でもある。かつ、観客との距離があることから歓声も含まれていないことから、その生々しさと緊張感がダイレクトに伝わる。そうそう、こういうビートルズの演奏が聴きたかったのよ……と思ったファンも少なくないはずです。音の分離やミックスのバランスもちょうどいい塩梅で、とても53年前の音源とは思えないほどのクオリティですし。ピーター・ジャクソンがこのタイミングにあのドキュメンタリーを完成させていなかったら、この先も黙殺されていたかもしれない貴重な音源、本当にありがたいです。
CDやアナログ盤などフィジカルリリースも熱望されている本作ですが、おそらく映像版『THE BEATLES: GET BACK』のソフト化にあわせて改めて販売されるのではないでしょうか。そんな気がしてなりません(そもそもソフト化の可能性があるのかどうかも謎ですけど)。なので、今のところは気軽に楽しめるストリーミング版で飽きるまでリピートしてやろうと思います(いや飽きないと思いますが)。
▼THE BEATLES『THE BEATLES: GET BACK - THE ROOFTOP PERFORMANCE』
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