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2022年1月22日 (土)

MUSE『THE 2ND LAW』(2012)

2012年9月28日にリリースされたMUSEの6thアルバム。日本盤は『ザ・セカンド・ロウ〜熱力学第二法則』という邦題で同年10月3日発売。

3作連続全英1位のみならず、初の全米TOP3入り(最高3位)という好記録を残した前作『THE RESISTANCE』(2009年)から3年ぶりの新作。バンドの勢いはそのままに、今作も全英1位&全米2位と記録を更新し続け、アメリカでも100万枚以上を売り上げました。また、「Madness」(全英25位、全米45位)、「Supremacy」(全英58位)というヒットシングルも生まれています。さらに、本作収録の新曲「Survival」は2012年ロンドン五輪の公式ソングに採用。まさにノリにノったタイミングの1枚と言えるでしょう。

ただ、本作を最初に聴いたときの印象はそこまで良くなかったことはここに記しておきます。オープニングを飾る「Supremacy」でのクラシカルなシンフォニックメタル調アレンジ、1分に満たないイントロダクション「Prelude」から続く「Survival」へのクラシック調な作風などが妙に鼻につき、リード曲「Madness」の穏やかなエレクトロサウンドも、骨太ファンクロック「Panic Station」も最初は取って付けたようにしか感じられなかったのです。

ただ、本作の印象が大きく変化したのは2013年1月のさいたまスーパーアリーナ単独公演と、同年8月の『SUMMER SONIC 2013』でのヘッドライナー公演を観て以降。幸運にも僕はどちらも現地で観ることができたのですが、特に最初のたまアリ公演でのスケールの大きなアリーナライブと、本作で鳴らされる無駄にスケールの大きな音が見事にマッチしていることを実感したことで、先のクラシカルな楽曲群はもちろん、新たなアンセムにまで成長したダンサブルな「Follow Me」も、初期の彼らを彷彿とさせる「Animals」、ドリーミーなポップチューン「Explorers」、一時期のU2のダンサブルさと重なる「Big Freeze」、クリス・ウォルステンホルム(B, Vo)がリードボーカルを担当した「Save Me」「Liquid State」の2曲、そしてアルバムのハイライトとなる組曲「The 2nd Law: Unsustainable」「The 2nd Law: Isolated System」……そうだった、このバンドってもともとすべてが無駄に過剰だったじゃないかと気付かされたのです。前2作(4thアルバム『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006年)と前作『THE RESISTANCE』)でのワールドワイドな成功で忘れかけていたけど、このすべてに全振りな大袈裟さこそMUSEの真髄じゃないか、と。

もしQUEENというバンドが2012年現在もフレディ・マーキュリー健在のまま続いていたら、ここまでとは言わないまでも、これに近い破茶滅茶で過剰すぎるミクスチャー感たっぷりのロックアルバムを作っていたはず。つまり、MUSEがこのアルバムで挑戦したことは古き良き時代のブリティッシュロックの伝統継承だったのです(それは言い過ぎか)。そこにEDMといった当時の流行を見事にミックスさせることで、伝統継承しつつも適度にモダナイズされ、2012年の耳で聴いても過剰すぎると思える1枚を完成させた。たったそれだけのことだったんですよね。

クラブミュージックに全振りもすればHR/HMにも全振りする。ダンスロックもあればオルタナティヴロックもあるし、クラシックやムード音楽、モダンポップもある……ちょっと早すぎる“プレイリスト的な”アルバムだったんですよね、これ。そう思って聴き返すと、すべてが腑に落ちるんじゃないでしょうか。実際、僕自身このアルバムはリリース当時より、そこから10年経った今のほうが理解できている気がするし、むしろ今の耳に非常にフィットするんです。

続く『DRONES』(2015年)ではとうとう全米1位まで獲得し、人気的には頂点に達したといっても過言ではないMUSEですが、音楽的な充実度における頂点こそ実はこの『THE 2ND LAW』という怪作だったのではないでしょうか。

 


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