ARCH ENEMY『WAGES OF SIN』(2001)
1月2日から数日更新をお休みしましたが、本日から再び連日更新を再開します。改めまして、本年もよろしくお願いいたします。
さて、2022年最初に取り上げる作品は、2001年4月25日に日本先行リリースされたARCH ENEMYの4thアルバム。海外では1年遅れの2002年3月18日に発売されました。
3rdアルバム『BURNING BRIDGES』(1999年)で初期ARCH ENEMYのスタイルを確立させるも、翌2000年にはフロントマンのヨハン・リーヴァ(Vo)が力量不足を理由に解雇に。バンドは新たなシンガー加入を発表しないまま次作の制作に突入します。そして、2001年に入ると突如ニューアルバムからの楽曲が公開され、新シンガーが誰なのかに注目が寄せられます。しばらくすると、新たなアーティスト写真が公開されるのですが、そこには女性シンガーであるアンジェラ・ゴソウの姿が。「これ、女性が歌ってたのかよ!!!!!」と多くのメタルファンが驚愕することになります。
今でこそ女性メタルシンガー、特にメロデスやメタルコアを歌うフロントウーマンは珍しくありませんが、20年前に彼女が登場したときはそのビジュアルと歌声との落差(という表現が正しいのかわかりませんが)に僕自身も腰を抜かしたことをよく覚えています。だって、どこからどう聴いても女性の片鱗が皆無でしたからね。
こうして海外より先に日本のファンに向けて届けられた本作。バンドは新たなシンガーとともに、ヨハン・リーヴァ時代のスタイルをより正統派ヘイメタル側に寄せる形で、メロディックデスメタルがさらにひとつ進化させることに成功するわけです。だって、ドラマチックな「Enemy Within」からスタートするアルバム冒頭や、小気味良いテンポを持つキャッチーな「Burning Angel」、過去3作のメロウなスタイルをより強化させた「Ravenous」、のちに自身のレーベル名にも用いられるグルーヴィーなミドルチューン「Savage Messiah」など、とにかく一寸の隙もない楽曲がずらりと並ぶのですから。悪いわけがないですよ。
ヨハンのボーカルスタイルはデスメタルというよりはもっとハードコア寄りな印象を受け、それが当時のARCH ENEMYのオリジナリティにつながっていたわけですが、このアルバムで聴くことができるアンジェラのボーカルはよりデスメタルサイドに振り切ったもので、スクリームというよりはグロウルという表現が最適なもの。その迫力は性別を超えた凄みがあるものの、突出した個性という点ではもう一歩というところ(それは作品を重ねることで解消されていくわけですが)。この時点では、楽曲の完成度をさらに強化させることで第2期ARCH ENEMYとしての個性を固めていこうとしていたんじゃないでしょうか。各曲の作り込み、主にマイケル&クリストファーのアモット兄弟によるギターのメロディラインや、シャーリー・ダンジェロ(B)&ダニエル・アーランドソン(Dr)による鉄壁かつ変幻自在なアンサンブルからもそういった傾向が伝わってきます。
アンジェラ時代のARCH ENEMYはその後も名曲の数々を、アルバムに最低でも1つは用意し続けましたが、アルバムトータルでの完成度という点においては実は本作が最高ではないか?という気がしています。ここで枠/雛形をほぼ完成させ、あとはブラッシュアップさせていく作業の連続だった……というのは言い過ぎでしょうか。
▼ARCH ENEMY『WAGES OF SIN』
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