LOUDNESS『SUNBURST〜我武者羅』(2021)
2021年12月29日にリリースされたLOUDNESSの29thアルバム(オリジナルフルアルバムとしては28枚目)。海外では2022年7月29日発売。
2018年1月発売の『RISE TO GLORY -8118-』以来、実に4年ぶりのオリジナル新作。同作リリース直後に鈴木政行(Dr)の脳梗塞発症に伴い、一時はサポートドラマーに西田竜一を迎えて活動していましたが、2020年以降はコロナ禍の影響もあり、思うように海外での活動ができずにいた彼ら。そんな中でも、鈴木は復帰に向けてじっくりリハビリを続け、2021年末のワンマンライブでは約20曲を叩き切るなど現布陣での完全復活を果たしています。
キャリア初の2枚組スタジオアルバムとなった本作は、海外でのツアーなどが制限されている現状を踏まえてか、日本人であることのアイデンティティを重視した内容に。かつ、2021年は結成&デビュー40周年という節目であったことも影響し、日本語タイトル&日本語詞中心の楽曲で大半を占められています(英語詞ナンバーは「STAND OR FALL」「The NAKIGARA」の2曲のみ)。がっつり日本語で歌われるアルバムって、もしかして『Racing/音速』(2004年)以来かな? ただ、歌詞の雰囲気的には同作以前の、むしろ初期の『DISILLUSION 〜撃剣霊化〜』(1984年)までの彼らに近い印象を受けます。実際、楽曲の質感や方向性も初期のプログロック的なアレンジを含むハードロック的ですしね。
最初、8曲入りディスク2枚で85分というボリュームに対しては、個人的には否定的でした。特にコンセプチュアルな内容でもない限り、今の時代に90分近い長尺の作品を発表するのはリスキーだし、そこまで集中して楽しめるものなのかな?って。それよりは10曲前後にまとめて焦点を絞ったほうが完成度も高まるんじゃないか、と思ったんです。
実際に2枚通して聴いてみると……意外と最後までスルスル聴き進められて、予想以上に満足できた事実に気付かされます。それは、初期のスタイルに回帰しつつも現代的な演奏や味付けを維持していることで、初期のLOUDNESS的でありながら『RISE TO GLORY -8118-』から続く歴史の先でもあると認識しながら楽しめるからではないでしょうか。
最初のインスト「Rising Sun」こそ「若干ユルいかな?」と思ったものの、先行披露されていた「OEOEO」や「大和魂」、そして「Crazy World」「STAND OR FALL」といった“らしい”楽曲を耳にするたびに「そうそう、これこれ!」とニヤニヤしてしまい、中盤以降も「日本の心」のようなファストチューン、「エメラルドの海」などの王道感の強いミディアムナンバー、久しぶりにポップサイドが強調された「天国の扉」など、充実した楽曲が揃っていることで最後まで飽きずに楽しめるんです。ある意味では歴史を総括したかのような内容でもあることから、確かにこれを10曲前後にまとめると散漫さがよい目立ってしまうかもしれない。そういった意味では、16曲というボリュームにしたことは正解だったのかもしれません。
ヘヴィな曲(それも往年のHR/HM的なものからモダンなものまで)、疾走感の強いファストチューン、メロディアスなバラード、そしてポップサイドを象徴するナンバーなど、LOUDNESSというバンドが築き上げてきた40年の歴史を凝縮し、かつバンドの原点である「日本人によるHR/HMバンド」にこだわった歌詞や作風は2021年というコロナ禍でなければ生まれなかったものかもしれない。偶然の産物かもしれませんが、結果としてはこの形で大正解だったと断言できる1作です。ここまで飽きずに何度も聴けるLOUDNESSのアルバム、本当に久しぶりかもしれません。
ただ、唯一の難点を挙げるとするならば、流通の関係などもあるのか国内でのデジタルリリースおよびストリーミング配信が未実施なこと。もちろんそうしたことが作品の良し悪しに関係するわけではありませんが、YouTubeなど動画サービスにも関連動画がないことからネット上で試聴することができず、フィジカル(CD)以外で本作にじっくり触れることがでいないというハードルの高さが生じてしまう。それは、この時代においてはちょっと厳しいものがあるかもしれません。ただ、そういうこともあってか(かつ年末リリースという新作が少ない時期というのも手伝って)、本作はオリコンデイリーチャートで最高1位、週間ランキングでは『LOUDNESS』(1992年)の2位、『THUNDER IN THE EAST』(1985年)の4位に次ぐ最高5位という好記録を残しています。
なんてことを考慮すると、実は本作の施策ってサブスク主流の現代において「音楽の価値」や「フィジカルのファンアイテム化」など、さまざまな課題を提示するものかのかもしれませんね。
▼LOUDNESS『SUNBURST〜我武者羅』
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