BRYAN ADAMS『CUTS LIKE A KNIFE』(1983)
1983年1月18日にリリースされたブライアン・アダムスの3rdアルバム。
1stアルバム『BRYAN ADAMS』(1980年)、2ndアルバム『YOU WANT IT YOU GOT IT』(1981年)と大きなヒットを飛ばすことができなかったブライアン・アダムス。起死回生とばかりに制作されたこの3作目からは、リードシングル「Let Him Know」こそ不発に終わりましたが、続くリカットシングル「Straight From The Heart」が本国カナダで初のTOP20入り、アメリカでも最高10位という高記録を残すことに。これを受けてアルバムもカナダで9位、アメリカで8位まで上昇し、「Cuts Like A Knife」(カナダ12位、米15位)、「This Time」(カナダ32位、米24位)と続々シングルヒットを飛ばし、続く4thアルバム『RECKLESS』(1984年)メガヒットへの下地を作ることになります。
プロデュースは前作から引き続きボブ・クリアマウンテン(THE ROLLING STONES、デヴィッド・ボウイ、ブルース・スプリングスティーンなど)とブライアン本人。音の解像度の良さは次作ほどではありませんが、あの時代のアルバムにしては非常にクリアで、ギターの音の粒もよく聞き取れるミキシングではないでしょうか。ゲートリバーブのかかったドラムサウンドも特徴的で、80年代らしさ満載です。
また、このアルバムのレコーディングから以降長きにわたり活動をともにするキース・スコット(G)が初参加。キース、デイヴ・テイラー(B)、ミッキー・カリー(Dr)、トミー・マンデル(Key)という90年代後半まで続く鉄壁の布陣が完成します。さらに、レコーディングにはルー・グラム(Vo/当時FOREIGNER)がコーラスでゲスト参加しています。
楽曲は『RECKLESS』期よりもラフさが目立つ、よい意味で“野暮ったさ”が感じられる内容。『RECKLESS』も十分ハードロック的側面を持つ作品ですが、本作のほうが80年代初頭的ハードロックさが伝わる楽曲が多く、「Take Me Back」や「Don't Leave Me Lonely」あたりは当時のKISSにも通ずるものがあるのではないでしょうか。それもそのはず、後者はソングライティングにKISSのエリック・カー(Dr, Vo)が参加しているのですから。これはKISSの当時の最新作『CREATURES OF THE NIGHT』(1982年)にブライアンと彼の相棒ジム・ヴァランスが「Rock And Roll Hell」「War Machine」にコライトで加わったことへのお返しだったのかもしれませんね。この「Don't Leave Me Lonely」、聴けば聴くほどKISSっぽく思えてくるから不思議です(笑)。
「This Time」「Straight From The Heart」「Cuts Like A Knife」と代表曲が並ぶアナログA面の充実度の高さは、改めて目を見張るものがあります。これらのヒットが続く『RECKLESS』のベースになっていることは間違いないでしょう。「Straight From The Heart」は同じバラードでも、のちの大ヒット曲「Heaven」ほどのダイナミズムはないものの、このシンプルさが良いというファンも少なくないはず。僕自身も「Heaven」や「(Everything I Do) I Do It For You」のようなドラマチックさに磨きがかかったパワーバラードより、素朴さの伝わる「Straight From The Heart」のほうがお気に入り。特にこの曲、ライブバージョンが素晴らしいんですよね。1983年当時、MTVなどでオンエアされていたライブ映像を観て僕は一目惚れ(一耳惚れか)したんですが、この映像は今でもYouTubeで視聴可能なので、ぜひチェックしてみてください(↓)。
同じバラードでも、アルバムラストを飾る「The Best Was Yet To Come」も味わい深くて最高。アナログB面は前半と比べて若干地味さが気になりますが、「Don't Leave Me Lonely」やポップな「Let Him Know」、そしてこの「The Best Was Yet To Come」で帳消しにしてくれるはず。全曲ベストとは言い難いものの、そのアンバランスさ含めて当時23歳のブライアン・アダムスを追体験できる1枚です。
▼BRYAN ADAMS『CUTS LIKE A KNIFE』
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