RADIOHEAD『HAIL TO THE THIEF』(2003)
2003年6月9日にリリースされたRADIOHEADの6thアルバム。日本盤はコピーコントロールCD仕様で、海外に先駆け同年6月2日発売。
エレクトロニカやジャズなど、ロックのフォーマットから離れた異色的内容の連作『KID A』(2000年)、『AMNESIAC』(2001年)でアメリカでも大成功を収めることとなったRADIOHEAD。『AMNESIAC』から2年ぶりに届けられた今作は、基本的には同2作の延長線上にある、非常に実験性の強い仕上がりとなっています。
この『HAIL TO THE THIEF』制作に向けて、まずトム・ヨークが3つのデモ作品を制作し、その中から厳選された楽曲をメンバー全員で仕上げていったとのこと。対外的には「次のアルバムはメタル」「いんなでPOISONを聴いて勉強してる」とメディアに発し、2ndアルバム『THE BENDS』(1995年)以来のロックアルバムになると見せかけておいて、その中身は『KID A』や『AMNESIAC』のスタイルにより磨きをかけた先鋭性の強い作品でした。
アルバム冒頭こそ「2 + 2 = 5」と題したロック色の強いナンバーですが、続く「Sit Down. Stand Up」以降はエレクトロ色の強い楽曲と、「Sail To The Moon」のようにムーディな楽曲が交互に訪れる。とっつきにくさや難解さを伴うスタイルのように映りますが、どの曲も不思議と過去2作以上の聴きやすさが伝わる仕上がり。それは3〜4分台という適度な尺以上にメロディが洗練されていることも大きいのではないでしょうか。
「Where I End And You Begin」はロックのフォーマットとは若干異なるものの、そのグルーヴ感からはロック的なテイストも伝わる。非常にスローなテンポからスタートする「We Suck Young Blood」も曲後半でうねるようにテンポアップしていく。リードシングル「There, There」もその流れにある1曲ですよね。この曲はリズム面に特化した印象があり、ライブでも複数のメンバーがフロアタムを叩いてビートを強調している。このカッコよさは過去の楽曲にはなかったものも見受けられ、個人的にも大好物です。
その後も「The Gloaming」みたいな直接的エレクトロニカや「A Punch Up At A Wedding」といったダウナーチューン、極太ファンク調の「Myxomatosis」、ベートーヴェンの「月光ソナタ」がモチーフの「A Wolf At The Door」など個性豊かな楽曲が並ぶ。統一性が薄いにもかかわらず、最後までスルスル聴き進められてしまうのは、ジャンルこそ雑多なものの質感として一本芯が通っているからではないえしょうか。
実は本作、RADIOHEADのアルバムとしては全14曲/約57分と最長なんですよね。それでも(内容は難解さを伴うのに!)ここまで聴きやすいアルバムに仕上げてしまう、その手腕に改めて感服します。そりゃ全英1位/全米3位(セールス100万枚超え)という成績も納得です。
ただ、本作に対してはリリース当時、僕はあまり良い印象がありませんでした。というのも、先にも書いたように日本盤と一部輸入盤がコピーコントロールCD仕様で発売されたため。確かUS盤がCDDA(通常のCD)仕様だったため、ちょとt時間が経ってから内容を確認してAmazonで取り寄せた記憶があります。現在はリリース元も変わり、廉価盤CDや配信で手軽に聴くことができますが、当時はそういった事実があったことを忘れてはなりません。なので、本作に対してポジティブな印象を持てるようになったのは、意外とここ数年のことかも知れません(マジで)。
▼RADIOHEAD『HAIL TO THE THIEF』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
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