R.E.M.『DOCUMENT』(1987)
1987年8月31日にリリースされたR.E.M.の5thアルバム。日本盤は同年10月21日発売。
1983年に『MURMUR』でデビューして以来、インディーズのI.R.S. Records所属ながらも常にアルバムを全米TOP40に送り込んできたR.E.M.。この5作目のアルバムからは「The One I Love」という初の全米TOP10入りシングル(最高9位)や「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」(全米69位)というスマッシュヒットが生まれ、アルバム自体も最高10位まで上昇。最終的にプラチナムアルバムに認定されました。
本作のプロデュースを手がけたのは、以降10年近くにわたりタッグを組むことになるスコット・リット(NIRVANA、INCUBUS、HOLEなど)。バンドサウンドや音楽性自体は前作からの延長線上にあるものの、より洗練された印象を受けます。実際、MTVなどで「The One I Love」が流れてきても、インディーバンドとは思えないほどのメジャー感が伝わるサウンドプロダクションだった、と当時を振り返り記憶しています。
作詞面でもそれまで歌詞が若干難解だったり、歌詞カードを見ながらじゃないと聞き取れないと、そういった面が取り沙汰される機会が多かった彼らですが、今作では「The One I Love」で聴けるシンプルな歌詞、わかりやすい言葉選びなどに変化を見出すことができます。同じくヒットした「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」にしても、言葉をギュッと詰め込んだ節回しながらもサビなどではシンプルさが際立つ。このへん、実は前作『LIFES RICH PAGEANT』(1986年)あたりから顕著になり始めていたんですよね。その実験がここで開花し、続くメジャー第1弾アルバム『GREEN』(1988年)で爆発するといったところでしょうか。
アルバム序盤はオープニングを飾る「Finest Worksong」こそヘヴィな音像で強いインパクトを与えるものの、「Welcome To The Occupation」から「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」までは比較的明るめで軽やかかつ穏やかなロックチューンで構成。中にはWIREのカバー「Strange」も含まれており、原曲のヘヴィ&スローな雰囲気からテンポアップ&軽快さを強調したことで、完全に自分たちのモノにしてしまっています。正直、指摘されなければR.E.M.のオリジナル曲だと信じていしまうほどです。
アルバムB面(後半)は、ヒットシングル「The One I Love」からスタート。哀愁味の強いメロディとともに、ここからアルバムの雰囲気が少しずつ変化してきます。若干のダークさをはらんだ「Fireplace」やグルーヴィなリズムとヘヴィな音像の「Lightnin' Hopkins」はアルバムに程よいアクセントを加え、若干のサイケデリックさを漂わせた「King Of Birds」を経て、最後はダーク&ヘヴィな音像の「Oddfellows Local 151」で締め括り。アルバム中盤で「It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)」と陽気に歌っていたけど、気づいたらどんよりした空気に変化しているという、この構成含めてお見事としか言いようがない1枚です。
このアルバムリリースからしばらくして、バンドはメジャーのWarner Bro.への移籍を発表。同作から1年強で6thアルバム『GREEN』を届け、ダブルミリオンの大ヒットを成し遂げます。そう、R.E.M.の快進撃はこの『DOCUMENT』(とシングル「The One I Love」)のヒットから始まったのです。そうった意味でも、彼らの音源に触れる上ではマストな1枚です。
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