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2022年2月 3日 (木)

JOURNEY『ESCAPE』(1981)

1981年7月17日にリリースされたJOURNEYの7thアルバム。

前作『DEPARTURE』(1980年)が初の全米TOP10入り(最高8位)を記録し、「Any Way You Want It」(全米23位)、「Walks Like a Lady」(同32位)、「Good Morning Girl / Stay Awhile」(同55位/両A面)といったヒットシングルを輩出。1980年12月には日本映画『夢・夢のあと』のために制作されたサウンドトラックアルバム『DREAM, AFTER DREAM』、1981年1月には初のライブアルバム『CAPTURED』も連発し、こちらも全米9位まで上昇、さらに同作からは「The Party's Over (Hopelessly in Love)」(同34位)というスマッシュヒットシングルも生まれました。

この勢いを途絶えさせないようにと、スタジオ作としては1年5ヶ月という短いスパンで届けられた今作。「Who's Crying Now」(全米4位)、「Don't Stop Believin'」(同9位)、「Open Arms」(同2位)、「Still They Ride」(同19位)とシングルヒットを連発させ、アルバム自体も初の全米1位を獲得。現在までに1000万枚以上を売り上げる、オリジナルアルバムとしてはキャリア最大のヒット作となりました(バンド最大のヒット作は1988年に発表したベスト盤『GREATEST HITS』で、アメリカのみで1500万枚超)。

ハードロックバンドとしての魅力は次作『FRONTIERS』(1983年)に譲るものの、アメリカンロックの大らかさとポップスとして通用するソフト感のバランスにもっとも優れているのが本作の特徴でしょうか。今作はグレッグ・ローリー(Key)から元THE BABYSのジョナサン・ケインへとメンバーチェンジして初のアルバムで、ジョナサンは早くもソングライティング面で大貢献しており、全10曲すべてに携わっています。

「Who's Crying Now」や「Don't Stop Believin'」といったバラードヒットの印象が強い本作(およびJOURNEYというバンドのパブリックイメージ)ですが、「Stone In Love」や「Keep On Runnin'」「Escape」をはじめとする楽曲では70年代から引き継ぐアメリカンハードロックバンドとしての矜持が伝わる、随所にテクニカルな演奏/アレンジがフィーチャーされています。特に、「Keep On Runnin'」や「Dead Or Alive」で味わえる疾走感や「Escape」で楽しめるプレイヤー陣の奇才ぶりは、本作における真の意味での醍醐味ではないでしょうか。ニール・ショーン(G)のギタリストとしての才能は本作の随所から伝わってきますし、「Mother, Father」でのリフワークのカッコ良さに関しては特筆しておくべきポイントだと断言しておきます。

その一方で、スティーヴ・ペリー(Vo)の声の存在感もさすがの一言で、ぶっちゃけシンガーとしての絶直期は今作や続く『FRONTIERS』、そしてソロアルバム『STREET TALK』(1984年)あたりではないかと思うほど。先に触れた「Mother, Father」はニールのギターのみならず、スティーヴのボーカルワークも絶品で、数々のシングルヒットを差し置いて真っ先にオススメしたい1曲でもあります。このドラマチックなハードロックチューンがあるからこそ、続くラストナンバー「Open Arms」がより輝くわけです。

音の質感的には70年代の延長線上にあるため、今聴くと若干の古臭さを感じずにはいられませんが(特に、80年代的な質感の『FRONTIERS』のあとに聴くと余計に感じるかも)、内容の充実度はキャリア最高峰。個人的にはベストアルバムよりも真っ先に聴くべき1枚だと思っています。

にしても、1981年7月というタイミングに本作とFOREIGNERの4thアルバム『4』がリリースされているという事実、非常に興味深いです。ハードロック界隈的には新興勢力が現れ始めた時期ですが、70年代からシーンを牽引してきたバンドたちによる奮起がもっとも伝わる2枚かもしれませんね。

 


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