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2022年2月15日 (火)

ZEAL & ARDOR『ZEAL & ARDOR』(2022)

2022年2月11日にリリースされたZEAL & ARDORの3rdアルバム。日本盤未発売。

ZEAL & ARDORはスイス系アメリカ人のマニュエル・ギャノー(Vo, G, Synth)を中心としたアヴァンギャルドメタル・プロジェクト。ブラックメタルにソウルなどのブラックミュージックを掛け合わせた独特の音楽性で注目を集め、1stアルバム『DEVIL IS FINE』(2016年)や続く2ndアルバム『STRANGER FRUITS』(2018年)はトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)やスラッシュGUNS N' ROSES)などから高い支持を得ました。

このセルフタイトルの3rdアルバム到着に至るまでは、昨年5月から6曲ものデジタルシングルが小出しにされ、過剰な期待が高まった中で約4年ぶりの新作が到着。本当にここまで長かった……。定期的に届けられる新曲群の出来が非常に高いだけに、アルバムへの飢餓感が最高潮に達したタイミングでのリリースだったのではないでしょうか。本当、プロモーション上手ですね。

前作『STRANGER FRUITS』同様、レコーディングは生ドラム以外のインストゥルメンタルをマニュエルが担当。ミックスは前作でのカート・バルー(CONVERGE)からウィル・パットニー(KNOCKED LOOSEEVERY TIME I DIESeeYouSpaceCowboyなど)に交代しており、昨今のモダンメタル的な質感の、非常に聴きやすいバランスにまとめ上げられています。

聴き手の期待を煽るイントロダクション「Zeal & Ardor」を経てスタートする、インダストリアルメタルなどのエクストリームメタルにアフロビートを掛け合わせたような「Run」を筆頭に、ゴスペルチックな質感のモダンメタル「Death To The Holy」、浮遊感の強いブラックゲイズナンバー「Emersion」など、アルバム冒頭からバラエティ豊かな楽曲が並びますが、その曲ごとに実験色の強いミクスチャー感に相反し、不思議と統一性の強さが伝わる仕上がり。個人的には「Emersion」で示された世界観がドツボすぎて、4曲目にして早くもピークを迎えます。

その後もダークなソウルメタル「Golden Liar」、強弱のコントラストがハンパない「Erase」、シンプルなアレンジがクセになるブルースナンバー「Bow」、冒頭のソウルフルさから突如エクストリーム感が増す「Feed The Machine」(この曲や「Erase」のギターワークにはNINE INCH NAILSあたりからの影響も見え隠れします)、目眩く展開と絶叫に次ぐ絶叫がたまらない「I Caught You」、“エクストリームゴスペル”なんて例えが似合いそうな「Church Burns」、グルーヴメタルの進化系「Götterdämmerung」、ドラマチックなメタルブルース「Hold Your Head Low」、“ジャズ、メタル、ブルース”を意味するタイトルとキャッチーな曲調とのアンバランスさにニヤリとさせられる「J-M-B」、“すべての希望は消え失せた(All Hope Is Lost)”という強烈なタイトルでアルバムを締め括る不穏なアウトロ「A-H-I-L」……ここまで1曲ごとにいろんなことにトライしながらも、1枚のアルバムとして起伏に富んだドラマを展開することができるなんて、お見事としか言いようがありません。いやはや、とんでもないアルバムを生み出したものです。

アルバム到着までデジタルシングルを小出しにし続けたことで、正直アルバムというまとまった形で今作を楽しむことができるのか。ぶっちゃけ、アルバム発売までに飽きがくるんじゃないか、興味を保てないんじゃないかと不安でしたが、まったくそんなことはなく、アルバムはアルバムとして新鮮な気持ちで接することができました。結局、完成度が高ければそんな心配無用ってことですね。

どの曲も2〜4分程度とコンパクトにまとめられ、かつ全14曲で44分というトータルランニングも古き良き時代のロックアルバムを踏襲している。スタンダードな形を踏襲しながらも最新のスタイルという、2022年を代表する傑作のひとつだと断言します。ホント、何度聴いても飽きないし、聴くたびに新たな発見のある恐るべき1枚です。

 


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