ANDY BELL『FLICKER』(2022)
2022年2月11日にリリースされたアンディ・ベルの2ndアルバム。日本盤は同年3月16日発売予定。
再結成後のRIDEでの活動が順調な中、デヴィッド・ボウイの死に触発されて2016年1月から初のソロアルバム制作が始まり、2020年10月に『THE VIEW FROM HALFWAY DOWN』というタイトルの処女作をリリースしたアンディ。そこから1年4ヶ月という短いスパンで届けられた本作は、2021年初頭から盟友ゲム・アーチャー(ex. HEAVY STEREO、ex. OASIS、ex BEADY EYE)とともにノースロンドンのスタジオで行ったレコーディングセッションが基盤になっているそうです。
アンディは昨年、EP3部作(4月に『THE INDICA GALLERY EP』、5月に『SEE MY FRIENDS EP』、6月に『ALL ON YOU EP』)をデジタルリリースしたほか、それらを1枚にまとめた『ANOTHER VIEW』もフィジカルリリース。さらにはアンビエント/エレクトロユニットGLOKでの1stアルバム『PATTERN RECOGNITION』も同年10月に発表しています。このコロナ禍(およびロックダウン下での生活)は彼からかつてないほどの創作意欲を導き出しているようです。
なにせこの2ndソロアルバム、全18曲/76分という大ボリューム。前作で展開されたフォーキー&サイケデリックなスタイルをさらに拡張させた、多岐にわたる楽曲群を楽しむことができます。その中には『NOWHERE』(1990年)などRIDEの初期を思わせるポップネス(サウンドはシューゲイザーというよりもドリームポップ的かな)が再燃している「Something Like You」も含まれており、RIDEの3作目『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)で見せたアーシーなスタイルの延長上にあるもの、4作目『TARANTULA』(1996年)で実践したブリットポップ的手法、 さらには近年のRIDEにも通ずるスタイルのものなど、“ソングライター/表現者 アンディ・ベル”のキャリアを総括するような仕上がり。また、「The Looking Glass」のように後期ビートルズのサイケデリアを再現したような、遊び心に満ちた楽曲も用意されており、我々がアンディ・ベルというアーティストに求めるすべてが揃った豪華な1枚と言えるのではないでしょうか。
正直、アルバムとしてのまとまりには欠ける雑多な仕上がりですが、その方向性含めどこかビートルズの『ホワイトアルバム』にも通ずるものがある。あのアルバムがバンド4人がそれぞれやりたい放題やった結果だったのに対し、今作は“初期RIDEのアンディ・ベル”、“後期RIDEのアンディ・ベル”、“再結成RIDEのアンディ・ベル”、そして“GLOKなどソロキャリアを積み重ねるアンディ・ベル”と4つの顔がめちゃくちゃなバランス感で混在する、トゥー・マッチな内容なのです。まあ、これも単なるこじつけですが(笑)、それくらいアンディが今やりたいことを制限なくやり遂げた結果ということは、このボリュームと内容で一目(耳)瞭然でしょう。
ここまで吐き出したからには、再びバンドに戻っていったときにまっさらな状態でセッションに臨むことができるのではないでしょうか。そういった意味でも、次のRIDEの第一歩が楽しみになる“通過点”のひとつです(とかいって、またすぐにソロ3作目に取り掛かっていそうな気もしますけどね。苦笑)。
▼ANDY BELL『FLICKER』
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