« BRYAN ADAMS『SO HAPPY IT HURTS』(2022) | トップページ | GHOST『IMPERA』(2022) »

2022年3月12日 (土)

ブライアン・アダムスのベストアルバムを総括する(2022年版)

ブライアン・アダムスの最新オリジナルアルバム『SO HAPPY IT HURTS』(2022年)、素晴らしい内容でしたね。この新作を機に、ぜひ若い世代にも彼の名作たちに触れていただきたい(そのためのサブスクリプションサービスですしね)。しかし、数あるオリジナルアルバムのどれから手を出したらいいのか、せっかくならオイシイとこ取りして手軽に楽しみたい! そういう方のために、このエントリーでは複数制作されている彼のベストアルバム/グレイテストヒッツアルバムを簡単に紹介していきたいと思います。

紹介するのは、アーティスト主導で制作された4作品。レーベル主導で販売された『ICON』(2010年)は除外しています。このエントリーを頼りに、どの時代のどの作品が自分に適しているか、吟味してみてください(もちろん、ヒット曲/代表曲の被りが多いので、全部手を出す必要はありません)。

 

 

『SO FAR SO GOOD』(1993)

 

1993年11月2日発売の、ブライアン・アダムス初の公式ベストアルバム(日本盤は同年11月8日発売)。CD1枚モノ。

過去には日本限定で『HITS ON FIRE』(1988年)という2枚組作品(DISC 1が当時の最新作『INTO THE FIRE』、DISC 2に『CUTS LIKE A KNIFE』『RECKLESS』からのヒットシングルに加え、アルバム未収録のシングルB面曲やライブテイクをコンパイル)が限定販売されましたが、ワールドワイドでのベストアルバムは今作が初めて。全米ブレイクのきっかけとなった3rdアルバム『CUTS LIKE A KNIFE』(1983年)からシングル3曲、メガヒットとなった4thアルバム『RECKLESS』(1984年)からは全米1位を記録した「Heaven」を含む6曲、5thアルバム『INTO THE FIRE』(1987年)からは「Heat Of The Night」1曲のみ、そして当時の最新オリジナルアルバムである6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991年)からは世界的大ヒット曲「(Everything I Do) I Do It For You」を含む3曲をピックアップ。さらに、本作のみの新曲としてシングルヒット(全米7位/全英2位)もした「Please Forgive Me」が用意されています。

『CUTS LIKE A KNIFE』『RECKLESS』からのヒットシングルは網羅されていますが、『INTO THE FIRE』からは「Hearts On Fire」(全米26位/全英57位)、「Victim Of Love」(全米32位/全英68位)の2曲、『WAKING UP THE NEIGHBOURS』からは「There Will Never Be Another Tonight」(全米31位/全英32位)、「Thought I'd Died And Gone To Heaven」(全米13位/全英8位)、「All I Want Is You」(全英22位)あたりのシングル曲が選外に。かつ、このアルバムと同時期にリリースされ大ヒット中だった、映画『三銃士』の主題歌として制作されたロッド・スチュワートスティングとのコラボ曲「All For Love」(全米1位/全英2位)も未収録となっています。

『WAKING UP THE NEIGHBOURS』が引き続きロングヒット中だった時期の1枚ということもあり、80年代のブライアンをおさらいするに最適な内容。ブレイク前の1stアルバム『BRYAN ADAMS』(1980年)、2ndアルバム『YOU WANT IT YOU GOT IT』(1981年)は気持ち良いくらいにスルーされているのも納得です。非シングル曲の「Kids Wanna Rock」(『RECKLESS』収録曲)も選ばれていることもあり、本作と『WAKING UP THE NEIGHBOURS』を持っていれば、この時点でのブライアン・アダムズはほぼ網羅できるといったところでしょうか。

実は、このテキストを書き始めて初めて気づいたのですが、先月まで配信されていた本ベストアルバム。いつの間にかサブスクから消えてます。あれ、もしかしてこの時点で企画倒れでは……(汗)。

 


▼BRYAN ADAMS『SO FAR SO GOOD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

 

 

『THE BEST OF ME』(1999)

 

1999年11月15日発売の、ブライアン・アダムス2作目のベストアルバム(日本盤は同年11月17日発売)。CD1枚モノ。

『SO FAR SO GOOD』から6年のスパンを経て制作された本作ですが、その間にオリジナルアルバムは『18 'TIL I DIE』(1996年)『ON A DAY LIKE TODAY』(1998年)の2枚しか出ておらず、かつ両作ともアメリカではかつてのようなヒットにはつながっていないこともあってか、本ベストアルバムが全米リリースされるのは2001年になってからでした。

全16曲の収録曲のうち『SO FAR SO GOOD』との被りは5曲と意外に少なめで、その内訳は4thアルバム『RECKLESS』から2曲(「Summer Of '69」「Run To You」と地味なセレクト)、6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』から2曲(「Can't Stop This Thing We Started」「(Everything I Do) I Do It For You」)、1stベストアルバム『SO FAR SO GOOD』から当時の新曲「Please Forgive Me」、アルバム未収録だったブライアン&ロッド・スチュワート&スティングによる「All For Love」(1993年)、7thアルバム『18 'TIL I DIE』から4曲、8thアルバム『ON A DAY LIKE TODAY』から3曲(うち「Cloud Number Nine」は未発表リミックスバージョン)、そして1997年に発表されたライブアルバム『MTV UNPLUGGED』のみ収録の新曲2曲(「I'm Ready」「Back To You」)と、本作のために制作された新曲「The Best Of Me」。『SO FAR SO GOOD』が80年代のUSヒットに寄せたものだとしたら、本作は90年代以降のUKヒットを総括した内容といったところでしょうか。

上記のように『SO FAR SO GOOD』との被りが比較的少ないこともあり、1993年以降の90年代を振り返る意味では非常に手軽な内容と言えます。とはいえ、本作も泣く泣くカットされた90年代のヒット曲が少なくないので、『SO FAR SO GOOD』同様にあくまでビギナー向けの1枚といったところでしょうか。

なお、本作も2022年2月までサブスク上で確認できたものの、気づけば『SO FAR SO GOOD』とともに消えてしまいました。

 


▼BRYAN ADAMS『THE BEST OF ME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

 

 

『ANTHLOGY』(2005)

 

2005年10月18日発売の、ブライアン・アダムス3作目のベストアルバム(日本盤は同年12月7日発売)。CD2枚組。

前作『THE BEST OF ME』から再び6年というスパンで届けられた本作は、そのタイトルどおり25年にわたるキャリアを完全総括するもの。これまでCD1枚に60〜70分程度/14〜16曲と限られた収録内容が、トータル156分というボリューミーなものとなっており、ヒット曲のみならずブライアンの歴史をしっかり学びたい人に向けた最良の作品と言えるでしょう。

実は本作、北米バージョンとインターナショナル・バージョン(日本盤含む)とでは一部内容が異なります。北米バージョンは主にDISC 2の後半(USヒットから離れた時期の楽曲)に偏りが感じられるので、日本のファン的には現行の日本盤およびインターナショナル・バージョンで問題ないかと。ちなみに、サブスクで配信されているのはこちらなのでご安心を。

インターナショナル・バージョンの内訳ですが、1stアルバム『BRYAN ADAMS』から1曲(非シングルの「Remember」)、2ndアルバム『YOU WANT IT YOU GOT IT』から1曲、3rdアルバム『CUTS LIKE A KNIFE』からシングル3曲、4thアルバム『RECKLESS』からシングル6曲(「One Night Love Affair」初選出)、5thアルバム『INTO THE FIRE』(1987年)から2曲(「Hearts On Fire」初選出)、6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』から5曲(「There Will Never Be Another Tonight」「Thought I'd Died And Gone To Heaven」「All I Want Is You」初選出)、1stベストアルバム『SO FAR SO GOOD』初収録曲から1曲(「Please Forgive Me」)、7thアルバム『18 'TIL I DIE』から5曲(「Star」初選出、「18 Til I Die」は2005年のライブテイク)、ライブアルバム『MTV UNPLUGGED』から2曲(「I'm Ready」「Back To You」)、8thアルバム『ON A DAY LIKE TODAY』から3曲(「On A Day Like Toay」初選出)、2ndベストアルバム『THE BEST OF ME』初収録曲から2曲(「All For Love」「The Best Of Me」、9thアルバム『SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON』(2002年)から1曲(「Here I Am」)、10thアルバム『ROOM SERVICE』(2004年)から1曲(「Open Road」)。さらに2005年公開の映画『COLOUR ME KUBRICK』のためにブライアンが制作した5曲入り同名サウンドトラックEPから1曲(「I'm Not the Man You Think I Am」)と、ブライアンがボニー・レイットに提供しゲスト参加した「Rock Steady」(ボニーの1995年のライブアルバム『ROAD TESTED』収録)、ブライアンをボーカルにフィーチャーしたシケインのUK No.1ヒット「Don't Give Up」、そして本作のために用意された未発表新曲「So Far So Good」という全37曲。

これでも全ヒットシングルは網羅できておらず、たとえば1985年のクリスマスシングル「Christmas Time」や、『SO FAR SO GOOD』には収録されていた「Do I Have To Say The Words?」(『WAKING UP THE NEIGHBOURS』収録曲)、『ROOM SERVICE』からのその他のシングル曲(「Flying」など)、さらにはバーブラ・ストライサンドとのデュエット曲「I Finally Found Someone」(全米8位/全英10位)も選出されていません。CDという記録媒体の限界を考えると、CD2枚にはこれが限度なんでしょうね(だからこそ、サブスクおよびプレイリストという便利な代物がある現代は非常に便利なわけですが)。

上記のように、キャリアを総ざらい且つヒット曲を(ほぼ)すべて知っておきたいという人には本作が最適。ただ、CD2枚組とボリューミーなので、気軽に手を伸ばしたいというビギナーには『SO FAR SO GOOD』から入るのが一番なんですけどね。

 


▼BRYAN ADAMS『ANTHLOGY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

 

 

 

『ULTIMATE』(2017)

 

2017年11月3日発売の、ブライアン・アダムズ4作目となる公式ベストアルバム(日本盤は同年12月6日発売)。CD1枚モノ。

その時点でのキャリアを総括した前作『ANTHLOGY』から12年ぶりのベスト盤は、CD1枚の収録容量ギリギリの約80分に21曲を詰め込んだ、ヒットシングル目白押しの1枚。曲によってはシングルエディットが採用されており(「(Everything I Do) I Do It For You」はアウトロをカットした4分強のバージョン)、いかにヒット曲を聴かせまくるかに主軸を置いていることがわかります。

内訳は3rdアルバム『CUTS LIKE A KNIFE』から1曲(「Cuts Like A Knife」)のみ、4thアルバム『RECKLESS』からシングル5曲(『SO FAR SO GOOOD』と同じ)、6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』から2曲、1stベストアルバム『SO FAR SO GOOD』初収録曲から1曲、7thアルバム『18 'TIL I DIE』から3曲、ライブアルバム『MTV UNPLUGGED』から1曲(「Back To You」)、8thアルバム『ON A DAY LIKE TODAY』から2曲、2ndベストアルバム『THE BEST OF ME』初収録曲から1曲(「All For Love」)、9thアルバム『SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON』から1曲(「Here I Am」)、当時の最新オリジナルアルバムである13thアルバム『GET UP』から2曲(「Go Down Rockin'」「You Belong To Me」)、そして本作のために制作された新曲2曲「Ultimate Love」「Please Stay」。5thアルバム『INTO THE FIRE』、10thアルバム『ROOM SERVICE』、11thアルバム『11』(2008年)、12thアルバム『TRACKS OF MY YEARS』(2014年)からの楽曲か完全スルーという、非常にわかりやすい内容です。

ティナ・ターナーとの「It's Only Love」(全米15位/全英29位)やメラニー・Cとの「When You're Gone」(全英3位)といったブライアンのオリジナルアルバムに収録されたデュエット曲、「Heaven」「(Everything I Do) I Do It For You」「All For Love」「Have You Ever Really Loved a Woman?」という全米1位獲得曲など記録や派手さにこだわった点でも、過去3作以上にわかりやすさが求められた1枚なのかなという気がします。

なお、これまでのベストアルバムがすべて10〜11月にリリースされていることにお気づきでしょうか? 要するに、欧米のクリスマスシーズン商戦に向けた作品なわけで、中でもこの『ULTIMATE』は80〜90年代に青春を過ごしたお父さんお母さんに向けたキラーアイテムだったのでは。そういった意味でも、全4作のベストアルバムの中でももっともビギナー向けの“グレイテストヒッツ”かもしれません。

本作も『ANTHLOGY』同様、サブスクで聴くことができます。ライト層はこの『ULTIMATE』を入り口に、もうちょっと深掘りしてみようと思った方には『ANTHLOGY』から入るのがベストかな。もしCDで購入してみようと思ったら、『SO FAR SO GOOD』が中古で安価にて入手できるはずなので(リリース当時、日本でもバカ売れしたので)、それが最適かもしれません。

 


▼BRYAN ADAMS『ULTIMATE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

 

 

 

というわけで、何かの参考になったでしょうか? 最後に、究極中の究極といえる“グレイテストヒッツ完全版”プレイリストをSpotifyにて用意しました(笑)。ぶっちゃけ、これを聴けばオールキャリアを総括できるはずです(だったら最初からこれだけ紹介しろよ、と元もこうもないことは言わない約束。苦笑)。

セレクトした楽曲は、Wikipediaの「Singles」欄に明記された、1stアルバム『BRYAN ADAMS』以降に発表された楽曲のうちサブスクリプションサービス上に存在するものです。1980年代〜90年代に関しては本国カナダ/アメリカ/イギリスのどれかでチャートインし、MVが制作されている楽曲に限定しました。

 

« BRYAN ADAMS『SO HAPPY IT HURTS』(2022) | トップページ | GHOST『IMPERA』(2022) »

2005年の作品」カテゴリの記事

Bryan Adams」カテゴリの記事

1993年の作品」カテゴリの記事

1999年の作品」カテゴリの記事

Sting」カテゴリの記事

2017年の作品」カテゴリの記事

Rod Stewart」カテゴリの記事

カテゴリー