DREAM THEATER『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: AWAKE DEMOS (1994)』(2022)
2022年2月25日にリリースされたDREAM THEATERのデモ音源集。日本盤は同年2月23日先行発売。
昨年6月からスタートした、バンドと所属レーベルInsideOutMusic Recordsとの共同企画によるオフィシャル・ブートレッグシリーズ『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES』の第7弾。今回はDREAM THEATERの3rdアルバム『AWAKE』(1994年)に収録された全11曲のデモテイクをまとめたもので、かつて自身のプライベートレーベルYtsejam Recordsから生産限定リリースしていた内容に最新リマスタリングが施されています。
ジェイムズ・ラブリエ(Vo)加入後2作目となる本作は、チャート的にも評価的にも一定の成功を収めた前作『IMAGES AND WORDS』(1992年)での作風とは少々異なる、ヘヴィさやダークさに特化した内容。このデモ音源集の日本盤解説を読んだとき、1993年8月に行われた二度目の来日公演ですでに本作から「The Mirror」の一部が披露されてたことが語られていますが、それを読んで同ツアーに参加していた僕は「……そういえばそうだった!」と急に記憶がフラッシュバックしました。「Take The Time」のイントロダクションとして演奏された、当時のMETALLICAやPANTERAみたいにヘヴィな音像の楽曲は、ショッキングだったものの個人的にはツボでして。「仮にこの方向性で新作がまとめられたら、楽しそうだな」なんて思ったものでした。
その、個人的名盤のひとつのデモ音源集とあれば、そりゃ嫌いになれるわけがない。オーバーダブや端正なミックスが施される前の、非常に生々しい音源の数々は普通に楽しめるだけのクオリティを保っており、ぶっちゃけこれより酷いスタジオアルバムもあるのでは……というのは言い過ぎでしょうか(苦笑)。
もちろん、完成版を聴いたあとに触れたらアラが目立ちますし、ところどころでフラットするボーカルなども気にならないわけではありません。ドラムの「いかにもリハーサルスタジオで録りました」的な音質といい、褒められたものではないかもしれない。それでも、聴くに耐え得るクオリティだと思えるのは、楽曲や演奏の完成度が非常に高いから。「Scarred」の叙情的な空気感や「6:00」のタイトさ、「The Mirror」のヘヴィさ(そのまま「Lie」インストバージョンへとつなげる構成もすでに出来上がっていて、非常にカッコいい)など、とにかく聴きどころ満載。DTファンなら文句なしで楽しめる内容かと思います。
「The Silent Man」でのシンプルな質感も、ライブ感が強くて尚よし。全体的に深めのリバーブがかかった完成版よりも、この生々しさのほうが好みかも。残念ながら「Lie」のみ音質がイマイチですが、その後の「Lifting Shadows Off A Dream」や「Innocence Faded」、そして「Space-Dye Vest」が素晴らしいので目をつぶることにします。やっぱり「Space-Dye Vest」、良いですよね。もしかしたら完成版よりもこっちのほうが好みの質感かも。
一部で完成版との違いも味わえるものの、大まかな骨格はデモの段階でほぼ出来上がっていることに気付くことができるという意味では、このバンドのこだわりの強さを再確認できる良企画ではないでしょうか。今後は既発音源集のリマスター盤のみならず、Ytsejam Records未発売の音源リリースにも期待したいところです。
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