AVRIL LAVIGNE『LOVE SUX』(2022)
2022年2月25日にリリースされたアヴリル・ラヴィーンの7thアルバム。
前作『HEAD ABOVE WATER』(2019年)から3年ぶりの新作。海外では新たにDTA Records / Elektra Recordsへと移籍しての第1弾アルバムとなります(日本では変わらずSonyから発売)。
4作目『GOODBYE LULLABY』(2011年)以降、初期のポップパンク/エモ路線からポップロック方面へとシフトし始めていましたが、デビュー20周年のタイミングに届けられた今作では初期の彼女のパブリックイメージとリンクするポップパンク/エモ路線に回帰。プロデューサーにジョン・フェルドマン(THE USED、GOLDFINGER、FEVER 333など)、モッド・サン(FOUR LETTER LIEなど)、トラヴィス・バーカー(BLINK-182、マシン・ガン・ケリーなど)を迎え、初期のスタイルをよりモダンにブラッシュアップさせた良質のポップパンクをたっぷり楽しむことができます。
正直、ポップパンク路線はアルバム中数曲だろうと高を括っていたのですが、いざ聴き始めると前半6曲はほぼその系統の楽曲であることに驚かされます。多少にアップダウンはあるものの、楽曲スタイルとしては往年のリスナーが彼女に求めるものそのものであり、アルバム冒頭を飾る「Canonball」を筆頭に、マシン・ガン・ケリーをゲストに迎えた「Bois Lie」、リード曲として最初に公開された「Bite Me」(楽曲制作ではマシュメロも参加)、ブラックベアーをフィーチャーした「Love It When You Hate Me」など、やりすぎと言いそうになるくらいに突き抜けたポップ感を堪能できます。
アルバム中盤に「Avalanche」「Déjà vu」で大ヒット曲「Complicated」を彷彿とさせるミディアム/メロウな楽曲が登場するも、その後も「F.U.」やBLINK-182のマーク・ホッパス(Vo, B)とのデュエットを楽しめる「All I Wanted」で突っ走る。そして終盤にスローバラード「Dare To Love Me」でじっくり聴かせ、ラストは2分にも満たない疾走パンクチューン「Break Of A Heartache」で締めくくり。全12曲/約34分という潔いトータルランニングで見事なまでに“アブリル・ラヴィーンに求められるもの”すべてを表現し尽くしてくれます。
最初の3作で初期路線を極め、年齢を重ねるとともに大人の表現にシフトしていくのかと思わせておいて、20周年の節目にまさかの原点回帰。間違いなく今求められている音はこれで間違いないし、それを旬で一流のプロデューサー/ソングライター/ミュージシャンたちと楽しみながら作り上げた。アヴリル完全復活!と高らかに宣言するにふさわしい力作だと思います。
もちろん、これが全米1位を獲得するとかそんな安直なミラクルは期待していません。しかし、近年ビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴといったアメリカの若年層アーティスト(ここにポッピーも含まれるはず)がこぞってアヴリルからの影響を口にする2022年に、アヴリル本人がやるべきことを全うした。それだけで十分じゃないですか。ジャンルを超越した、今もっとも聴くべき/聴かれるべきオーバーグラウンド・ロック/ポップスの良盤です。
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