COREY TAYLOR『CMFB...SIDES』(2022)
2022年2月25日にリリースされたコリィ・テイラーの企画アルバム。日本盤未発売。
SLIPKNOT、STONE SOURのフロントマンによる初のソロアルバム『CMFT』(2020年)に続いて発表された本作は、彼が影響を受けたアーティストのカバー曲、『CMFT』収録曲をアコースティックバージョンで再録したテイク、そしてライブ音源で構成された内容。『CMFT』の「T」に「B...SIDES」を被せたアートワークからも想像できるように、『CMFT』から派生した裏面(=B Sides)的な1枚といったところでしょうか。
全9曲(実質10曲)のうち、カバーは6曲。METALLICAの『ブラックアルバム』(1991年)トリビュートアルバム『THE METALLICA BLACKLIST』(2021年)に提供した「Holier Than Thou」のほか、DEAD BOYS「All This And More」、エディ・マネー「Shakin'」、RED RIDER(TOM COCHRANE & RED RIDER)「Lunatic Fringe」、KISS「Got To Choose」、ジョン・キャファティ(JOHN CAFFERTY & THE BEAVER BROWN BAND)「On The Dark Side」という、年代もジャンルもバラバラな楽曲がいかにも今のコリィらしい形で表現されています。「Shakin'」や「Lunatic Fringe」「On The Dark Side」は1980年代前半のヒット曲ということもあり、コリィが幼少期にラジオでよく耳にしていた楽曲ではないでしょうか。ハードロックとは程遠いものの、あの頃のUSロック/ポップスにラジオやMTVを通じて触れてきた同世代の自分にとっても(若干後追いではありますが)懐かしいものがあります。
また、KISSやDEAD BOYSは70年代なので、リアルタイムというよりはロックにハマッてから知った楽曲じゃないかなと想像。KISSもあえて地味な2ndアルバム『HOTTER THAN HELL』(1974年)からのセレクトですしね(コリィが生まれた翌年にリリースされたアルバムだから、なおさらね)。アルバムジャケットではコリィ含め、バンドメンバー全員がKISSメイクをしているあたりにも、この曲へのこだわりが伝わってきます(「Holier Than Thou」同様、この曲もエンディングに仕掛けが用意されています)。
また、『CMFT』からは「Kansas」「Halfway Down」のアコースティックバージョンでリメイク。さらに、同作からの「Home」とSTONE SOURの2ndアルバム『COME WHAT(EVER) MAY』(2006年)収録曲「Zzyzx Rd.」をメドレー形式でリアレンジしたライブテイクも用意されており、全体を通してレイドバック気味の作風にフィットしたセルフカバーとなっています。特に、アルバムのど真ん中に置かれた9分にもおよぶ「Home / Zzyzx Rd.」は、何気に本作のキモと言えるのではないでしょうか。本作からのリードトラックは「On The Dark Side」ですが、個人的にはそう捉えています。
コロナ禍が若干落ち着きつつあり、ようやく『CMFT』を携えたライブツアーが本格的にスタートしたコリィ。本作は改めて『CMFT』へと注目を集めるために用意された、再起爆剤といえる1枚なのかな。SLIPKNOTの次作もレコーディングが終わり、残すはミキシングだけのようですし、こういうお遊び満載のアルバムでリラックスしたコリィの姿はまたしばらく見納め(聴き納め)かもしれませんね。
あくまでファンアイテム的な企画盤なので、これを持って「コリィは今後、ソロではレイドバックしたスタイルを押し進めていく」と解釈するのは勇み足。STONE SOURでも小出しにしてきた側面をたまたま特化させた1枚と捉えるのがベストでしょう。本気のお遊びに対しては、こちらも肩の力を抜きつつ本気で楽しみながら向き合いたいと思います。
▼COREY TAYLOR『CMFB...SIDES』
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