SCORPIONS『PURE INSTINCT』(1996)
1996年5月21日にリリースされたSCORPIONSの13thアルバム。日本盤は『ピュア・インスティンクト〜蠍の本能』の邦題で、同年5月20日発売。
ラルフ・リーカーマン(B)を新メンバーに迎え制作した前作『FACE THE HEAT』(1993年)から2年8ヶ月ぶりの新作。その間にはスタジオ新曲を含む通算3作目のライブアルバム『LIVE BITES』(1995年)のリリースもありましたが、同作発売直前には70年代からのメンバーであるハーマン・ラレベル(Dr)が脱退と、90年代に入ってからメンバーチェンジが続くことになります。
さらに、この時期にバンドはレーベルとマネジメントも一新。長きにわたり在籍したVertigo RecordsからAtlantic Recrods(北米のみ)およびEast West Records(それ以外)へと移籍し、アーウィン・ムスパー(CHICAGO、BON JOVI、VAN HALENなど)とキース・オルセン(WHITESNAKE、EUROPE、HEARTなど)を共同プロデューサーに迎え新作を完成させます。
アルバム完成後に新メンバーとしてジェイムズ・コタック(Dr/ex. KINGDOM COME、ex. WARRANTなど)が加入しますが、レコーディングにはセッションドラマーのカート・クレスが参加。全体的な作風は『CRAZY WORLD』(1990年)の延長線上にあるポップロック/バラード中心のソフトな内容となっています。
バグパイプをフィーチャーしたオープニング曲「Wild Child」こそ王道のハードロック感が伝わりますが、3曲目にして早くもバラード「Does Anyone Know」が登場。その後もM-7「When You Came Into My Life」、M-9「Time Will Call Your Name」、M-10「You And I」、M-11「Are You The One?」とバラードタイプの楽曲が全11曲中5曲と約半数を占める結果に。
また、M-2「But The Best For You」はメロウなロックチューンながらも、ラテン調のアコギをフィーチャー。M-4「Stone In My Shoe」は爽快感の強いメジャーキーのポップロック、M-5「Soul Behind The Face」やM-8「Where The River Flows」は穏やかなトーンのAORナンバーと、全体を通じてHR/HM色を抑えたテイストでまとめられています。時代に呼応したハードエッジな作風だった前作『FACE THE HEAT』からの反動といえばそれまでですが、SCORPIONSにハードロックを求める層には若干厳しい内容と言わざるを得ません。
ですが、1曲1曲のクオリティの高さは問答無用なだけに、駄作と切り捨てることもできない。「Wind Of Change」路線を求めるライト層にはリーチする良作ではあるものの、コアなHR/HMリスナーには“軽すぎる”1枚ではないでしょうか。
たまに聴くと本当に良いアルバムだなと思うし、何か作業をしている横で流しっぱなしにする分には文句なしの良アルバム。聴くタイミングや気分を選ぶ1枚かもしれませんね。
なお、本作は2022年3月現在、日本のみならず海外でもストリーミング未配信。このタイミングにぜひとも解禁していただきたいものです。
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