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2022年4月12日 (火)

AEROSMITHのベストアルバムを総括する(2024年改訂版)

先日ブライアン・アダムスで試してみた、いちアーティストの公式ベストアルバム/コンピレーションアルバムをひとつのエントリーの中で総括する記事AEROSMITH版です。

AEROSMITHは1973年のデビュー以降、Columbia Records(1973〜1984)→Geffen Records(1985〜1997)→Columbia(1997〜2021)→Universal(2021〜)と移籍を繰り返してきましたが、現在は全カタログの権利をUniversalが取得したことで、今後Columbia/Sony時代の音源もUniversalからフィジカル再発/デジタル配信されることになりそうです。

そういった意味では、ここに記す代表的なコンピレーションアルバムのいくつかは今後、姿を消すことになるかもしれません。それでもこの機会に改めて、ひとつの記録として記事を残しておくのはアリかなと思い、今回の執筆に至りました。

選出したベストアルバムは、レーベル主導によるシリーズ企画(Universalの『THE MILLENNIUM COLLECION』など)を除く、新曲やレア曲などを含む9 10作品。中には廃盤になっていたりサブスクで聴けないものも含まれていますが、ご了承ください。また、すでに単独エントリーで公開済みの作品もありますが、その場合は該当記事のリンクを貼っておきますのでご参考ください。(※2024年8月5日、新たに2023年発売の『GREATEST HITS』を追加した改訂版となります)

 

 

『AEROSMITH'S GREATEST HITS』(1980)

 

1980年11月にリリースされた、バンド初のベストアルバム。

そのタイトルどおり、収録内容はシングル曲を中心にしたもので、アナログ時代ということで全10曲/約38分というコンパクトな内容でまとめられています。また、構成的にもリリース順に並べられているので、いきなり「Dream On」から始まるという曲順はロックバンド的にどうなのかな?という疑問も残ります。

収録曲のうち、「Same Old Song And Dance」「Sweet Emotion」「Kings And Queens」はイントロを短くした“シングル・エディット”バージョンで収録。「Walk This Way」もアルバムバージョンより10秒近く短い形にエディットされています。オリジナルバージョンに勝るものはありませんが、本作リリース当時は70年代の代表的シングル曲をひとまとめに楽しめるアルバムとして、非常に重宝されましたし、80年代後半の本格的復帰以降も『PERMANENT VACATION』(1987年)『PUMP』(1989年)とともにこのアルバムを愛聴したファンは少なくなかったはずです(注:Apple Musicなど一部ストリーミング配信版は各シングルエディットがアルバムバージョンに差し替えられているのでご注意を)。

また、映画サントラに提供したビートルズのカバー「Come Together」が収録されている点も注目ポイントかな。『LIVE! BOOTLEG』(1978年)ではライブバージョンを先に聴くことができましたが、スタジオテイクがエアロのアルバムに収録されるのはこれが初めて。そこも本作が長く愛された要因のひとつかなと。

なお、本作がリリースされた頃にはすでにバンドの人気も低迷期に突入しており、チャート的には大きな成功を収めることはありませんでしたが、そこから数年後の再ブレイクも手伝い、セールス的には現在までに1000万枚を超えるメガヒット作となっています。

 


▼AEROSMITH『AEROSMITH'S GREATEST HITS』
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『GEMS』(1988)

 

1988年11月にリリースされたAEROSMITHのコンピレーションアルバム。

『PERMANENT VACATION』(1987年)の大ヒットを受けて、前レーベルのColumbia Recordsが企画したコンピ版で、シングル曲中心でまとめられた前作『AEROSMITH'S GREATEST HITS』と比べるとその内容はかなり地味なもの。ただ、ライブで演奏される機会の多い「Mama Kin」や「Lord Of The Thighs」「Train Kept A-Rollin'」なども含まれていることから、“裏ベスト”的側面の強い1枚かなと。

本作最大の注目ポイントは、『LIVE! BOOTLEG』(1978年)のみで聴くことができた「Chip Away The Stone」の未発表スタジオテイクが収録されていること。この1曲のために当時本作を購入したというファンも少なくなかったはずです。実際、この曲は本作からシングルカットもされ(既存ライブ映像を使用したMVも制作)、ラジオヒットも記録しています。

今のようにサブクスやYouTubeも存在せず、過去のスタジオアルバムにまで手を出せなかった当時の中高生には本作に収録された「Rats In The Celler」や「Nobody's Fault」「Round And Round」「Jailbait」などはかなりカッコよく響いたものです。ここから『ROCKS』(1976年)『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)にも手を伸ばしていったビギナーは80年代後半、かなりの数存在していたはずですから。

コアなファンの中には、先述の『AEROSMITH'S GREATEST HITS』より本作のほうが好きという方も、意外と多かったりして。かくいう僕も本作、大好物ですからね。

 


▼AEROSMITH『GEMS』
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『PANDRA'S BOX』(1991)、『PANDORA'S TOYS』(1994)

 

1991年11月にリリースされたAEROSMITH初のボックスセット・コンピレーション作品、および1994年6月に発売されたコンピレーションアルバム。

前者については過去のレビューを参照のこと。後者は『PANDRA'S BOX』同梱の3枚のディスクから11曲を抜粋した内容で、「Sweet Emotion」や「Draw The Line」「Walk This Way」などの代表曲や「Mama Kin」「Seasons Of Wither」といったライブで人気の楽曲、「Big Ten Inch Records」のライブ音源、貴重な「All Your Love」「Helter Skelter」の未発表音源などが抜粋されており、タイミング的には『GET A GRIP』(1993年)を携えたワールドツアーにあわせて再構築されたような1枚かなと。

なお、前者はサブスクで聴くことができますが、後者は現在廃盤状態。まあ、収録された12曲は『PANDRA'S BOX』からの抜粋なので、今も存在する意味はありませんしね。

 


▼AEROSMITH『PANDORA'S TOYS』
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『BIG ONES』(1994)

 

1994年11月にGeffen Recordsから発売された、AEROSMITHのグレイテストヒッツ・アルバム。

ここまではColumbia/Sonyが80年代のバンド再起を受けて企画したものが大半でしたが、本作は『PERMANENT VACATION』(1987年)『PUMP』(1989年)『GET A GRIP』(1993年)という再ブレイク後のアルバムからのヒットシングルを中心にセレクトされた内容。本作のみで聴くことができる新曲「Walk On Water」「Blind Man」といった楽曲も含まれています。

詳しくは、過去のレビューを参照ください。

 


▼AEROSMITH『BIG ONES』
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『AEROSMITH'S GREATEST HITS 1973-1988』(1997)

 

1997年4月21日にリリースされた、『AEROSMITH'S GREATEST HITS』(1980年)の改訂版。日本盤は同年4月23日発売。

そのタイトルが示す通り、『AEROSMITH'S GREATEST HITS』以降に発表された『ROCK IN A HARD PLACE』(1982年)からのシングル曲「Lightning Strikes」に、『GEMS』(1988年)から「Chip Away The Stone」、さらに「Mama Kin」「Seasons Of Wither」「Big Ten Inch Record」といったアルバム曲、そして「Sweet Emotion」の『PANDRA'S BOX』(1991年)収録リミックスバージョンと、限定EP『MADE IN AMERICA』(1997年)から「One Way Street」ライブ音源の計7曲を追加した全17曲版となっています。

時期的にちょうどSony再移籍アルバム『NINE LIVES』(1997年)と同タイミングのリリースだったので、そこに合わせた改訂だったんでしょうね。

「Same Old Song And Dance」「Sweet Emotion」「Walk This Way」「Kings And Queens」は引き続きエディットバージョンで収録。せっかくCD主流時代の改訂なんだから、オリジナルバージョンに差し替えればいいのに……と思うものの、あくまで『AEROSMITH'S GREATEST HITS』の改訂版という立ち位置は重視するあたりに「アメリカだなあ……」と感じたり。

現在はこのバージョン、CDは廃盤状態。ストリーミングでも未配信となっています。

 


▼AEROSMITH『AEROSMITH'S GREATEST HITS 1973-1988』
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『YOUNG LUST: THE AEROSMITH ANTHOLOGY』(2001)

 

2001年11月20日にリリースされた、Geffen Records時代の活動を総括するCD2枚組コンピレーションアルバム。日本盤は同年11月21日発売。

『BIG ONES』(1994年)がシングルヒットにこだわったビギナー向けだとすると、本作は再ブレイク前のGeffen移籍第1弾アルバム『DONE WITH MIRRORS』(1985年)も含む総括的内容。当然、「Let the Music Do The Talking」もしっかり含まれています。また、各アルバムから3〜5曲前後収録されているほか、「Ain't Enough」「Head First」「Don't Stop」「Can't Stop Messin'」、そして「Livin' On The Edge」のアコースティックバージョンといったシングルC/W曲、「Love Me Two Times」(THE DOORSカバー)といったサントラ提供曲、さらにRUN D.M.Cと共演した「Walk This Way」がAEROSMITH作品に初収録されるなど、当時としては聴きどころの多い内容となっています。

『BIG ONES』に初収録された新曲「Walk On Water」「Blind Man」や、サントラ提供曲「Deuces Are Wild」もこちらに含まれているので、『BIG ONES』よりも深くこの時代を知りたい方にはうってつけの内容かなと。

ただし、こちらはデジタルリリースこそあるものの、ストリーミングサービスでは国内未配信のまま。現在はUniversal Musicの『GOLD』シリーズの一環として、タイトルとジャケットを変更した形で流通しています。

 


▼AEROSMITH『YOUNG LUST: THE AEROSMITH ANTHOLOGY』
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『O, YEAH! ULTIMATE AEROSMITH HITS』(現『THE ESSENTIAL AEROSMITH』)(2002)

 

2002年7月2日にリリースされたコンピレーションアルバム。日本盤は同年7月3日発売。

Columbia/Sony再移籍後初のコンピ盤にして、2つのレーベルをまたいだ選曲による初のベスト盤。DISC 1に70年代(Columbia時代)、DISC 2に80年代以降(Geffen〜二度目のColumbia時代)というわかりやすい形で配分されており、2022年時点においても本作がもっともエアロ入門編として最適なベストアルバムかな。

『BIG ONES』(1994年)の頃は、ここに『AEROSMITH'S GREATEST HITS』(1980年)と『GEMS』(1988年)を加えた3枚で初級編といった形でしたが、そんなまどろっこしさが必要ないくらい、痒いところに手が届く選曲ではないでしょうか。詳しくは、過去のレビューを参考のこと。

 


▼AEROSMITH『O, YEAH! ULTIMATE AEROSMITH HITS』
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『DEVIL'S GOT A NEW DISGUISE: THE VERY BEST OF AEROSMITH』(2006)

 

2006年10月17日にリリースされたコンピレーションアルバム。日本盤は『エアロスミス濃縮極極ベスト』の邦題で同年11月1日発売。

『O, YEAH! ULTIMATE AEROSMITH HITS』(2002年)から4年弱と比較的短いスパンで届けられた本作。前作がCD2枚組だったのに対し、本作はCD1枚ものとコンパクトな内容に。それにより漏れた楽曲も多数で、全18曲のうち70年代の楽曲は6曲のみ、かつ「Walk This Way」はRUN D.M.C.バージョンだったりします。また、80年代以降のヒット曲も「Angel」や「Amazing」「Falling In Love (Is Hard On The Knees)」「Pink」などが外れています。また、前作以降に制作されたブルースアルバム『HONKIN' ON BOBO』(2004年)からは1曲もセレクトされず。どういった層を狙った1枚か、なんとなく想像できますね。

ところが、上記は北米&日本盤の選曲で、イギリス盤は異なる選曲/曲順となっています。こちらは年代バラバラに並んだ曲順なのに加え、70年代の楽曲は「Dream On」「Sweet Emotion」「Walk This Way」(RUN D.M.C.バージョン)の3曲のみ。かつ、「Angel」や「Amazing」「The Other Side」「Pink」が追加されているほか(「What It Takes」はカット)、「Livin' on The Edge」と「Janie's Got A Gun」は別ミックスで収録されているというレアバージョン。

そして、各バージョン共通で新曲「Sedona Sunrise」「Devil's Got A New Disguise」を収録。前者は90年代の彼らの作風を踏襲したブルージーなバラード、後者はエッジの効いたハードロックとバランスの取れた2曲を楽しむことができます。現時点ではサブスクでも一部歯抜け状態での配信ですが、この新曲を聴くためだけにチェックしてみるのもアリかもしれません。

ちなみに、日本盤は「Sweet Emotion」「Pink」「I Don't Want To Miss A Thing」「Jaded」のMVを収めたボーナスDVD付き初回限定仕様も用意。

 


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『TOUGH LOVE: BEST OF THE BALLADS』(2011)

 

2011年5月10日にリリースされた、バラードタイプの楽曲を中心としたコンピレーションアルバム。日本盤は同年7月6日発売。

80年代後半の再ブレイク以降、「Angel」を筆頭にバラード曲でのヒットが続いたAEROSMITH。その極め付けが「I Don't Want To Miss A Thing」での全米1位獲得であり、この新規コンピ盤はそこにスポットを当てた1枚となっています。なお、本作は日本盤を含むインターナショナルバージョンと、北米バージョンの2バージョンが存在しており、ここではインターナショナルバージョンについて触れることにします。

しかし、収録曲に目を通すとすべてがバラードというわけではなく、中には「Love In An Elevator」や「Rag Doll」といったヒットシングル、さらには「Magic Tough」や「Sweet Emotion」といった楽曲も含まれており、どちらかというとラブソングに寄せた選曲なのかなと。欧米人の考えることは正直わかりません。

「Janie's Got A Gun」や「Livin' On The Edge」もバラードかと言われたら微妙ですが、バラード“タイプ”ということならアリかなと。「Pink」も同様ですかね。新曲の類は含まれていませんが、「Amazing」のオーケストラル・エディットはサブスクだとこのアルバムだけの特色かなと思います。内容はギターの音量を抑え気味にして、ストリングスを全面に打ち出したソフトなミックスという代物。こういうバランス感に変わると、不思議と70年代の彼らっぽくも聞こえるので、これはこれでアリかなと思います。

なお、本作以降エアロの新規コンピレーションアルバムは制作されていません。2022年以降はこうしたイミフなコンピが再び増えることになるのか、ファンとしては楽しみ半分、不安半分といったところでしょうか(笑)。

 


▼AEROSMITH『TOUGH LOVE: BEST OF THE BALLADS』
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『GREATEST HITS』(2023)

 

 

2023年8月18日にリリースされた最新コンピレーションアルバム。

2022年に全カタログの権利がCapitol / Universalに買収されたことを受け、新たに制作されたオールタイムベストアルバム。ちょうど2023年はデビュー50周年というタイミングということ、今作りリース後の9月2日からはフェアウェルツアーが開催されるということもあって制作された、基本的には豪華3枚組仕様となっています。

特に日本盤はボーナスディスクを付けた複数仕様が用意されているので、詳しくはこちらでご確認ください

 


AEROSMITH『GREATEST HITS』
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