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2022年4月28日 (木)

FONTAINES D.C.『SKINTY FIA』(2022)

2022年4月22日にリリースされたFONTAINES D.C.の3rdアルバム。

全英&アイルランド2位、米・Billboard Heatseekers Albums 2位、スコットランド1位を記録した前作『A HERO'S DEATH』(2020年)から1年9ヶ月ぶりの新作。前作は『BRIT Awards 2021』や『Grammy Awards 2021』にもノミネートされるなど、名実ともに大成功を収めたあとの新作だけに、世界的な注目もより集まっているタイミングかと思います。

そんな中で、彼らは過去2作同様にプロデュース&ミックスにダン・キャリー(BLACK MIDIWET LEG、ケイ・テンペストなど)を起用。アイルランド語で“The damnation of the deer(鹿の天罰)”を意味するタイトルを冠し、より深みを増した独創的な音世界を堪能することができる力作に仕上がっています。

衝動性の強かったデビューアルバム『DOGREL』(2019年)、そこから楽曲の幅が広がりを見せていく2ndアルバム『A HERO'S DEATH』と急成長を続けてきた彼ら。このアルバムからも成長の一端はしっかり伝わり、まずはオープニングトラック「In ár gCroíthe go deo」でのドラマチックなアレンジで、リスナーを大いに驚かせてくれることでしょう。淡々としているようで実はエモ度が高いこの楽曲、どこか2000年代前半のRADIOHEADを彷彿とさせるものがあります。

その後もミディアムテンポの楽曲中心で進行している作風は、前作の延長線上にあるものと言えます。が、1曲1曲の濃度は今作のほうがはるかに上で、リードシングル「Jackie Down The Line」で聴くことのできる王道感、「Bloomsday」で漂わせる浮遊感などはより磨きがかかっていると言えるもの。その一方で、「The Couple Across The Way」からはアイリッシュトラッド的な色合いもにじませている。アコーディオンのみをバックに歌うグリアン・チャッテン(Vo)の哀愁漂う歌唱は本作の聴きどころのひとつですし、そこからタイトルトラック「Skinty Fia」へと続く流れも素晴らしい。エレクトロテイストを交えたひんやりしたビートとエフェクト、その上で淡々と歌うグリアンの(徐々に熱を増していく)ボーカルは、前曲同様に今作のハイライトと言えるでしょう。

さらに、ラストトラック「Nabokov」なんてMY BLOODY VALENTINE的シューゲイザーの香りもちらほら。「In ár gCroíthe go deo」のようにドラマチックな楽曲から始まり、「Nabokov」みたいなシューゲイザーに傾倒した楽曲で締めくくるアルバム、悪いわけがない。過去2作以上に大好物が詰まった1枚です。

地に足のついたビート感は前作以上で、それが本作に安定感を与えていることは間違いなく、そういった土台の上でうねるようなベースとエフェクティブなギターが独創的な音像を作り上げ、過去2作以上に表現力を増したボーカルがアルバムや楽曲の方向性を固めていく。正直、ここまで強靭なアルバムが前作からたった2年で完成するなんて、想像もしていなかった。このバンド、どこまで進化していくんだろう……と本当にワクワクさせてくれる存在です。

UKオルタナティヴロックのど真ん中を突き進みつつ、アイリッシュとしてのアイデンティティも決して失わず、むしろ作品を増すごとにその側面が強くなっているFONTAINES D.C.。7月末に控えた初来日公演でどんなステージを見せてくれるのか、非常に気になるところです。

 


▼FONTAINES D.C.『SKINTY FIA』
(amazon:国内盤CD / MP3

 

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