LAMB OF GOD『VII: STURM UND DRANG』(2015)
2015年7月24日にリリースされたLAMB OF GODの7thアルバム。日本では『VII: シュトゥルム・ウント・ドラング ~疾風怒濤』の邦題で同日発売。
全米3位を記録した前作『RESOLUTION』(2012年)から3年半ぶりの新作、前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めると8枚目のオリジナルアルバム。アメリカでは変わらずEpic Records所属ですが、日本を含む海外ではNuclear Blast Records移籍第1弾作品としてリリースされました。
プロデュースは5thアルバム『WRATH』(2009)以来タッグを組んでいるジョシュ・ウィルバー(TRIVIUM、Crossfaith、SONS OF TEXASなど)が担当。「Embers」にはチノ・モレノ(Vo/DEFTONES)、「Torches」にはグレッグ・プチアート(Vo/KILLER BE KILLED、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLANなど)がそれぞれゲスト参加しています。
オープニングの「Still Echoes」から従来のLAMB OF GOD節が前回で、過去作のファンならば問答無用で楽しめる1枚。個人的にはこの曲といい、続く「Erase This」といい、過去数作と比較すると非常に聴きやすくなった印象を受けました。特に、チノ・モレノをフィーチャーした「Embers」は彼が歌唱するパートが非常にDEFTONES的テキストでまとめられていることもあり、よりそうした親しみやすさを覚えるのかもしれません。
とはいえ、基本的にはランディ・ブライ(Vo)の怒号のようなスクリームと、手数の多いクリス・アドラー(Dr)のヘヴィだけど軽やかなドラミング、マーク・モートン(G)&ウィル・アドラー(G)が織りなすギターサウンドの“壁”(と、随所ににじみ出るメロディアスさ)を首尾一貫楽しめる1枚かな。PANTERA以降のモダン・ヘヴィメタル/グルーヴメタルに何の偏見もないメタルリスナーには、ど真ん中と言えるくらい正統派モダンメタルの良作だと思います。
と同時に、ランディがメロディアスかつ囁くように歌うスロー&ヘヴィナンバー「Overlord」にはグランジからの影響も見え隠れするし、グレッグ・プチアートのカラーが色濃く表れた「Torches」の浮遊感の強さにはオルタナ/ニューウェイヴからの影響も伝わってくる。これらの要素は一見浮いてしまいそうに思えるのですが、意外にもアグレッシヴな全体像に見事馴染んでいるから不思議です。そういった意味でも、本作はトータルバランスに非常に優れた、2015年時点での集大成的1枚ではないでしょうか。
あと、前作が全14曲/56分と長尺だったのに対し、本作は全10曲/48分と比較的コンパクト。1曲1曲は4〜5分とかなり密度の高い仕上がりなので、これだけでも十分におなかいっぱいになる内容です。デラックス盤および日本盤はボーナストラック2曲(「Wine & Piss」「Nightmare Seeker (The Little Red House)」が追加され、結果的には56分と前作並みのボリュームになってしまうのですが(さらに日本盤はライブ音源2曲を追加)、できることなら本作はM-10「Torches」で潔く終えるのがベストかな。おまけはおまけでしかないし、ボートラ2曲が加わることでアルバムの印象が薄まるような気がするので。
ちなみに本作、いつのまにか日本の各ストリーミングサービスから消えてしまっています。ここの日本の流通元はリスナーに対して優しくないといいますか、こういうケースが少なくないので困りものです(リリースから5年くらい経つと聴けなくなっている作品、多々あるのでどうにかしてもらいたいものです)。
▼LAMB OF GOD『VII: STURM UND DRANG』
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