SOUL GLO『DIASPORA PROBLEMS』(2022)
2022年3月25日にリリースされたSOUL GLOの1stフルアルバム。日本盤未発売。
SOUL GLOは2014年にフィラデルフィアで結成された4人組バンド。Pitchforkでは彼らのことを「ワシントンDCハードコア、ウェストコーストスラッシュ、ミッドウェスト・エモなどの要素を感じる彼らの音楽。あらゆる社会的コミュニケーションが欠如した荒野の世界(現代)に轟く、人間が決して無視できないエモーショナルなものである」と評されており、ハードコアパンクやヒップホップやメタル、スクリーモ、ノイズなどをミックスしたエクストリームミュージックに、メンバー4人中3人がアフリカンアメリカンというルーツをベースにした社会問題や人種差別に対する怒りや否定をストレートに示した歌詞が特徴といえるでしょう。
昨年、突如Epitaph Recordsとの契約が発表された彼ら。その第1弾作品となる本作は2016年から制作がスタートし、ジャンマルコ・“GG”・ゲーラ(B, Vo, Programming)とバンドの友人でありエンジニアでもあるエヴァン・バーナードによってプロデュースされたもの。エネルギッシュなサウンド&楽曲群は一聴すると、REFUSEDのようなハードコアパンク、あるいはFEVER 333を筆頭とするミクスチャー/ラップコアを思い浮かべるのではないでしょうか。もっといえば、そういったバンドたちの始祖のひとつでもあるBAD BRAINSと重なるものもある(その姿勢含めて)。そういう意味では、2022年という時代にフィットしたバンドであり、時代に“呼ばれた”アルバムかもしれません。
オープニングを飾る「Gold Chain Punk (whogonbeatmyass)」を聴くと、90年代以降のハードコアを思わせるスマートさが伝わりますが、続く「Coming Correct Is Cheaper」ではヒップホップ、あるいはブラックミュージックを下地にしつつもオールドスクールなハードコアスタイルを乗せてくるし、ブラスセクションをフィーチャーした「Thumbsucker」ではアグレッシヴなスカコアを展開。攻撃力や破壊力の強さはどの曲もすさまじく、一瞬たりとも気を抜くことができない。しかし、そこに息苦しさは一切存在せず、気づけば拳を上げてシンガロングしたくなる自分が存在する。「Fucked Up If True」での激しい展開を爆音で体験する頃には、きっとそんなふうに羽目を外している自分に気づくはずです。
「Jump!! (Or Get Jumped!!!)((by the future))」のようなキラーチューンもしっかり用意されているし、「Driponomics」におけるマザー・メリーローズなどを筆頭にさまざまなゲストラッパーも多数フィーチャーしており、主張の強い彼らのサウンドにさらなる説得力を加えています。フロントマンのピアース・ジョーダン(Vo)のボーカル/スクリームのパワフルさ、クレイジーさもひたすらカッコいいし、ルーベン・ポロ(G)のギタープレイのセンスからはトム・モレロ(RAGE AGAINST THE MACHINE)に近いものも感じる。先人たちからの影響が見え隠れしつつも、そのすべてが自己流に昇華されており、オリジナリティの高さもしっかり伝わる。なもんで、濃密な内容ながらも全12曲/約40分があっという間に感じられるほど。気づけば二度、三度とリピートしているはずです。
日本ではまだまだ知名度が低いですし、リリースから半月以上経っても彼らを大々的に紹介しようとするメディアもほぼ存在しない。ぶっちゃけ一昨年のCODE ORANGE、昨年のTHE ARMEDやTURNSTILE並みの存在へと化ける可能性も大きいだけに、ぜひこのタイミングにチェックしておいてもらいたいバンドであり、2022年を代表する傑作のひとつです。今すぐライブが観たい!
▼SOUL GLO『DIASPORA PROBLEMS』
(amazon:海外盤CD / MP3)
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