DEF LEPPARD『DIAMOND STAR HALOS』(2022)
2022年5月27日にリリースされたDEF LEPPARDの12thアルバム。
earMUSIC Recordsを通じて発表されたセルフタイトル作『DEF LEPPARD』(2015年)から6年7ヶ月ぶりのオリジナルアルバム。この約7年の間に過去作のサブスク解禁があったり(国内では最新作『DEF LEPPARD』のみ聴けなくなってますが……)、新録曲を含む最新ベストアルバム『THE STORY SO FAR: THE BEST OF』(2018年)、『AND THERE WILL BE A NEXT TIME... LIVE FROM DETROIT』(2017年)や『LONDON TO VEGAS』(2020年)といった数々のライブ作品、名盤『HYSTERIA』(1987年)の30周年企画盤(2017年)、未発表音源を豊富に含む3つの『THE COLLECTION』ボックスセット企画(2018〜21年)などがあったほか、2020年夏にはMOTLEY CRUEやPOISON、ジョーン・ジェットとのスタジアムツアーも計画(コロナの影響で2022年初夏にようやく実現)するなど、常に話題に事欠かなかった気がします。
なんなら、もう新作を作らなくてもいいんじゃないか……とすら思えていた近年の活動(特に、前作がセルフタイトルというのも意味深)でしたが、彼らはこの2年にわたりアイルランド(ジョー・エリオット)、ロンドン(リック・サヴェージ)、アメリカ(フィル・コリン、ヴィヴィアン・キャンベル、リック・アレン)と3ヶ国にまたがり、秘密裏に制作を続けてきたとのこと。コロナの影響で先行きがまったく見えない中、時間の制約もなく進められたレコーディングを通じて、原点回帰的な前作からよりルーツに根ざした、だけどモダンさも伝わる意欲的な1枚を仕上げました。
前作も14曲入りで約53分とかなり長尺な内容でしたが(それでも『HYSTERIA』の全12曲/約63分には敵いませんが)、今作は全15曲で約62分と過去最多の楽曲数で『HYSTERIA』にも及ぶ長尺さ。やりたいことを全部詰め込んだように感じられるほど、近年稀に見るバラエティ豊かな内容です。
リード曲として最初に配信された「Kick」からも伝わるように、またT. REX「Get It On」の一節から引用したアルバムタイトルからもわかるように、本作は全体を通じてグラムロック色が強めに打ち出された作風。とはいえそこはDEF LEPPARDのこと、名盤『PYROMANIA』(1983年)や『HYSTERIA』のテイストも随所に用意されており、従来のファンも不安なく楽しめる1枚かと思います。
でも、個人的にはそれ以上に……名盤(というよりは迷盤か?)だと個人的に思っている6thアルバム『SLANG』(1999年)あたりの質感(サウンドメイクやアレンジなど)も見つけることができ、さらに前々作『SONGS FROM THE SPARKLE LOUNGE』(2008年)での試みも活かされていることにも気づく。そういった意味では、ルーツを見つめ直しつつこれまでのキャリアを総決算した1枚でもあるのかなと(アルバムのアートワークもそういった方向性ですしね)。ただ、単なる総決算で終わっておらず、しっかり新しいさ/新鮮さも散りばめられており、マンネリ化から見事に脱却している。ロックダウンなどの影響で離れ離れに作業を進め、多少心にも余裕を持てたことも作品に良い作用をもたらしたことが、アルバム全体からも伝わってきます。
アリソン・クラウスをフィーチャーした楽曲があったり、デヴィッド・ボウイとの共演で知られるマイク・ガーソンがピアノでゲスト参加していたりと、特筆すべきトピックも少なくないですが、本作はそれ以上に楽曲の強度、演奏の熱量(「Take What You Want」や「From Tere To Eternity」で聴けるギターソロのエモーショナルさといったら!)、さらに大人の品格などいろんな側面からDEF LEPPARDというバンドの魅力を楽しめる、良質で濃厚な傑作だと断言しておきます。
アメリカ出身のBON JOVIが“枯れる”方向でルーツや円熟味を表現している昨今、かたやイギリス出身のDEF LEPPARDはそれとは異なる方法でベテラン感を提示している。この違いが本当に面白くてたまりません。と同時に、自分のルーツはやっぱりこっちなんだなということも再確認することもできました。この夏のスタジアムツアー、実はチケットを押さえているのですが、まだ渡米する勇気を持てないので残念ながら断念するつもりです。だからこそ、今秋から来年にかけての来日公演にぜひとも期待したいところです。
▼DEF LEPPARD『DIAMOND STAR HALOS』
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