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2022年5月 9日 (月)

HALESTORM『BACK FROM THE DEAD』(2022)

2022年5月6日にリリースされたHALESTORMの5thアルバム。日本盤は同年5月11日発売予定。

オリジナルアルバムとしては全米8位を記録した前作『VICIOUS』(2018年)から約3年9ヶ月ぶり。新録曲からなるデジタルEP『REIMAGINED』(2020年)をその期間に挟んではいるものの、コロナ禍の影響もありスパンとしては過去最長となってしまいました。

プロデュースを務めたのはカバーEP『REANIMATE 3.0: THE COVERS EP』(2017年)、前作『VICIOUS』から引き続きニック・ラスクリネクツ(ALICE IN CHAINSMASTODONKORNなど)。かつ、今回はコ・プロデューサーとしてスコット・スティーヴンズ(SHINEDOWNDAUGHTRYNEW YEARS DAYなど)も名を連ねており、ストリングス・アレンジメントのほかアコースティックギター(「Terrible Things」)でも制作に参加しています。

基本的な作風は、ダイナミックでミドルテンポのハードロックサウンドを軸にリジー・ヘイル(Vo, G)のボーカルを効果的に届けるアレンジという前作の延長線上にあるもの。前々作『INTO THE WILD LIFE』(2015年)でのスタイルをよりヘヴィなものへと昇華させたのが前作だったとすると、今作はその『VICIOUS』でのスタイルをよりブラッシュアップさせたものと受け取ることができます。

と同時に、歌を効果的に聴かせつつも各楽器パートの主張もより強くなっているように感じれ、バンド感が今まで以上に伝わる作品でもあるのかなと。中でもリジー&ジョー・ホッティンジャー(G)のギタリストとしての存在感は過去イチと言えるもので、リフワークはもちろんのこと、ちょっとしたソロプレイに至るまで耳に残るフレーズが今まで以上ではないでしょうか。今まではリジーの歌に引っ張られているところも多分にあったのでしょうが、先にも述べた“バンド感”の向上により一人ひとりの役割により重みが増した。それもこれも、コロナ禍の影響でツアーができなかったり、面と合わせて曲作りやレコーディングが難しかったりする状況に陥ったことも大きいのかな。

リジーは本作の制作に関して、「新型コロナウイルス(が問題となる)約3ヶ月前にアルバムの制作をスタートしたの。ロックダウンが実施されたあとは、ライブもツアーもできなくなってしまって、とても憂鬱な気持ちになり、自己喪失に陥ってしまった。このアルバムは、私がその深い底から抜け出すストーリーを描いています。メンタルヘルス、放蕩、サバイバル、救済、再発見、そして人間への希望、という旅を体験できると思うわ」とコメントを残していますが、そうしたリジーの思いをメンバーが汲み取ったのか、あるいは同じタイミングに同様のことを感じていたのか、なんにせよロックダウンなどを経てじっくり時間をかけて完成させただけある、充実度の高い1枚と言えるでしょう。

「Back From The Dead」や「The Steeple」といったリード曲はもちろんのこと、パワフルな歌と演奏でグイグイ引っ張るドラマチックなアレンジの「Wicked Ways」、豪華なストリングス隊をバックにリジーが繊細かつ力強く歌い上げる「Terrible Things」あたりは本作のハイライト。特に後者は直近のEP『REIMAGINED』での試みがうまく反映されている印象を受けます。

ただし、全体を通して同じようなテンポ感(ミドルテンポ、もしくはミディアムスロー)が続くことがあり、若干の平坦さを覚えるのも確か。「Terrible Things」や「Raise Your Horns」のようなスローバラードは良いアクセントになっているものの、1曲くらいアップテンポの楽曲があったらアルバムとしてもう少し変化がつけられたんじゃないかな(あるいは「Wicked Ways」タイプの楽曲をもうひとつ、中盤以降に置くとか)。とはいえ、このダークさや閉塞感も“2020年以降”の世の中を反映させたものと言えるので、先のリジーのテーマを考えると致し方ないのかな。

このバンドの場合、楽曲のバリエーションがある程度パターン化してしまっているので、もしこのスタイルを維持していくのであれば、今後はいかにアレンジで勝負できるかが鍵になりそうです。

 


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