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2022年6月 1日 (水)

DEPECHE MODE『DELTA MACHINE』(2013)

2013年3月22日にリリースされたDEPECHE MODEの13thアルバム。日本盤は3月27日発売。

前作『SOUNDS OF THE UNIVERSE』(2009年)から約4年ぶりの新作にして、Columbia Records移籍第1弾アルバム。前作発表後、デイヴ・ガーン(Vo)の悪性腫瘍発覚というトラブルがあったものの、Teenage Cancer Trustの一環で行われたチャリティライブ(2010年2月)では元メンバーのアラン・ワイルダー(Key)と「Somebody」で約15年ぶりに共演するといううれしいサプライズもありました。

新たな環境から発表された本作ですが、プロデュースを担当したのは『PLAYING THE ANGEL』(2005年)、『SOUNDS OF THE UNIVERSE』を手がけてきたベン・ヒアリー(BLUR、DOVES、ELBOWなど)。これまでどおり、エレクトロサウンドとオーガニックな生音を程よいバランスで融合させた、彼らにしか生み出すことのできないオリジナリティあふれる内容に仕上がっています。

オープニングを飾る「Welcome To My World」からして我が道をゆく王道スタイルなのですが、この曲然り、続く「Angel」然りですが、適度にEDM色が散りばめられており、しっかり時代に呼応していることにも気付かされます。かと思えば、「My Little Universe」ではブリープテクノ的なテイストが散りばめられていたり、「Heaven」ではゴスペル、「Slow」ではブルースなど、過去の彼ら……特に1990年前後から2000年代半ばあたりまでの活動中期の経験を随所から見つけ出すことができる。ある意味、バンドとして個性が固まったところからネクストレベルへと移行していったタイミングの活動を振り返り、見直しているような内容と受け取ることもできるのではないでしょうか。

もちろん、先にも書いたように単なる焼き直しで終わらず、しっかりと現代的な味付けを施すことでバージョンアップしていることのいも気付く。そのバージョンアップも単なる進化というよりは、深化と呼ぶにふさわしい仕上がりで、新たな領域に踏み込みながらもこれまで歩いてきた道をさらに深掘りするような方向性は、バンドとして活動後期に突入したことを匂わせています。「Broken」のような楽曲なんて、従来の彼らのイメージと重なりつつも、よりディープさが増しているように感じますしね。

年齢的にも50代に突入したことで、今後どこまでこのバンドを継続していくことができるのか。あるいは、どこまで以前のような大々的なツアーを続けることができるのか、など現状を見直すタイミングだったことは間違いないでしょう。だからこそ、限られた時間の中でなすべきことを考えた結果が、自分たちのキャリアの総括だったのではないか、と。もちろん、そこから新たな発見もあったでしょうし、外からの影響も引き続きあったはず。それがすべて反映されたのが、この濃厚な1枚だったと考えると、全13曲というボリューミーな内容と、さらに本編に収まり切らなかった4曲を追加したデラックス盤の存在も納得がいくはずです。

『VIOLATOR』(1990年)ほど突き抜けすぎておらず、かといって『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』(1993年)ほどダークで病んでもいなければ『ULTRA』(1997年)みたいに救いを求めるような危うさも感じられない。いろんな困難を乗り越えた結果、悟りの境地に到達した……それがこの『DELTA MACHINE』ではないかと、個人的には感じています。だからなのか、今でも聴く頻度が非常に高い1枚です。

 


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