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2022年5月 6日 (金)

GINGER WILDHEART『THE PESSIMIST’S COMPANION』(2018/2022)

2022年4月22日にリリースされた、ジンジャー・ワイルドハートの7thアルバムのリパッケージ盤。日本盤未発売。

本作は2018年11月末からRound Recordsを通じてネット(当初はデジタルのみ、翌2019年にフィジカルも)販売され、2020年9月からはデジタルリリース&サブスク配信が実施されていた同名の10曲入りアルバムに、新たに5曲を追加して曲順を変更、Wicked Cool Records経由で一般流通させた全15曲入りの新作。プロデュースはTHE WiLDHEARTSの最新作(にして何度目かの解散に際してのラスト作となってしまった)『21ST CENTURY LOVE SONGS』(2021年)やライブアルバム『30 YEAR ITCH』(2020年)、THE PROFESSIONALSの『WHAT IN THE WORLD』(2017年)などのほか、ジンジャーの前作『GHOST IN THE TANGLEWOOD』(2017年/2018年)でミックスを手掛けたデイヴ・ドレイパーが担当しています。

カントリーやフォークなどアメリカーナからの影響を強く受けた前作『GHOST IN THE TANGLEWOOD』から間髪入れずに発表された作品ということもあり、同作の延長線上にある内容。それもあってジンジャー(Vo, Dr,B, G,Per)のほかジョン・ケトル(G, Mandolin, Bouzouki)、マシュー・コリー(Piano, Hammond, Keys)、マーカス・ヒプキス(Pedal Steel)、エミリー・アーウィング(Cho)といったメンツは前作から引き続き参加しており、新たにデイヴ・ドレイパーもギターやプログラミングでも制作に加わっています。

そういった意味では、『GHOST IN THE TANGLEWOOD』とこの『THE PESSIMIST'S COMPANION』は姉妹作と言えるかもしれません。事実、『GHOST IN THE TANGLEWOOD』日本盤にボーナストラックとして追加された3曲のうち、「In Reverse」とは『THE PESSIMIST'S COMPANION』オリジナル盤、「I Don't Wanna Work On This Song No More」は同リパッケージ盤に改めて収録されていますし。録音時期もさほど変わらず、単にデイヴ・ドレイパーがプロデュース&プレイヤーとしてタッチしているか、していないかの違いくらいのものなのかなと。

曲順がだいぶ変わっていることもあり(オリジナル盤では2曲目だった「Why Aye (Oh You)」が1曲目、そしてオリジナル盤オープニングの「May The Restless Find Peace」がラストナンバーに)、全体を通して聴いたときの印象も少々異なりますが、全体を覆うリラックスした空気自体はまったく一緒。ロック/パンク/メタルなTHE WiLDHEARTSの中にもこうした“枯れた”要素はもともと含まれていたものですし、その一要素を抜き取って拡大させただけと受け取ることもできますし、パワーポップのルーツにはこうしたアメリカーナ的側面も多く含まれていることを考えると、ジンジャーが年老いていく中でこちらの方面に特化した作品づくりに移行していくのも納得がいきます。

実際、どの曲も非常にクオリティが高く、一時期の「あと一歩!」「もう一声!」的な時代を考えると終始安心して楽しむことができるはず。特にこのアルバムを制作していた頃は、まだバンドとしての新作に取り掛かっていない時期だったこともあり、ソングライターとしてはこちらの活動に集中しており、そこでここまでの才能を発揮できていたのは改めて素晴らしいことだなと再認識させられます。

また、本作にはARCTIC MONKEYS「I Wanna Be Yours」とTHE WALKER BROTHERS「No Regrets」というカバー曲も収録。この2曲は2019年春の「Record Store Day 2019」のために提供されたもので、当時はアナログ・変形ピクチャー盤(犬の写真が可愛い)で限定販売もされました。原曲はダウナーかつソウルフルなアレンジの「I Wanna Be Yours」も、ジンジャーの手にかかると軽快なカントリーロックへと生まれ変わるあたり、さすがです。

「Sweet Wonderlust」や「Stalemate」あたりはTHE WiLDHEARTSでプレイしても違和感なさそうな名曲ですし、バンドの(何度目かの)解散に凹んでいるファン(「またいつものことさ」と落ち込んでいないかと思いますが。苦笑)にこそ改めて触れていただきたいと同時に、いまだにジンジャー=THE WiLDHEARTSという固定観念を持っている人にこそ聴いていただきたい1枚です。

 


▼GINGER WILDHEART『THE PESSIMIST'S COMPANION』
(amazon:海外盤CD / MP3

 

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