HARDCORE SUPERSTAR『HARDCORE SUPERSTAR』(2005)
2005年11月2日にリリースされたHARDCORE SUPERSTARの5thアルバム。日本盤は同年11月23日発売。
ポップで軽やかなパンク路線へと振り切った前作『NO REGRETS』(2003年)から2年2ヶ月ぶりの新作。過去2作ではキャッチーさにこだわることでハードロック色をどんどん希釈させていましたが、ここにきて代表作にしてワールドワイドデビュー作となった2ndアルバム『BAD SNEAKERS AND A PINA COLADA』(2000年)当時のスタイルへと回帰し、以降続くこのバンドの“らしさ”やオリジナリティを完全な形で開花させます。
当時流行っていたジャングル(シャッフル)ビートを用いたリード曲「Wild Boys」が、まさに往年のMOTLEY CRUEのイメージと重なる仕上がりで、多くのHR/HMファンが「これこれ!」と膝を叩いたことでしょう。アルバムは同曲を筆頭に、「Kick On the Upper Class」や「Bag On Your Head」といった疾走感を伴うハードナンバー、「Last Foreve」や「She's Offbeat」などグルーヴィーなリズム感を強調したノリのよいミディアムチューン、「We Don't Celebrate Sundays」を筆頭とするアンセム感の強いキラーチューン、そして「Standin' On The Verge」に代表される哀愁味漂うバラードタイプの楽曲と、とにかく全体のバランス感に優れたハードロックアルバムに仕上がっている。過去4枚のアルバムが数々ある要素のひとつに特化した作風だったとしたら、ここではHCSSが持つすべての特徴が均等に保ちつつ、そのすべてを100まで振り切ろうとする気概が伝わる。そんな起死回生の1枚ではないでしょうか。
ここで築いたひとつの形を軸に、以降バンドはさまざまな変遷をたどっていきますが、2022年現在の最新作『ABRAKADABRA』で彼らが再びこのセルフタイトル作を踏襲した作品を完成させることになるとは。そういった意味でも、本作はバンドにとって“第2のデビュー作”と言えるのかもしれませんね。
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