KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016)
2016年10月21日にリリースされたKORNの12thアルバム。
ブライアン・“ヘッド”・ウェルチ(G)が復帰した前作『THE PARADIGM SHIFT』(2013年)から3年ぶりの新作。キャッチーな歌メロ重視ニューメタル路線から、よりエッジの効いたスタイルが復調しつつある良質なメタルアルバムに仕上がっています。
プロデューサーを前作でのドン・ギルモア(BULLET FOR MY VALENTINE、LINKN PARK、アヴリル・ラヴィーンなど)からニック・ラスクリネクツ(HALESTORM、ALICE IN CHAINS、MASTODONなど)に交代したことも大きいのでしょうか。「Rotting In Vain」や「The Hating」などヘヴィな音の塊の中に心地よいメロウなテイストがにじんでいるテイストは、前作『THE PARADIGM SHIFT』での経験をベースにしつつも4thアルバム『ISSUES』(1999年)以降の路線を踏襲したもののようにも受け取れます。
また、モダンでプログロック的な側面を追求した5thアルバム『UNTOUCHABLES』(2002年)や、コンパクトでキャッチーなスタイルにこだわった7thアルバム『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』(2005年)からの影響も見え隠れし、変に初期のヘヴィさにこだわった結果中途半端に終わった9thアルバム『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』(2010年)よりもバンドとして自然体に映るのも印象的。そういった意味では、バンドの基礎を構築した伝説の1stアルバム『KORN』(1994年)と2ndアルバム『LIFE IS PEACHY』(1996年)、最大のヒット作となった3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)を変に意識しすぎることなく臨んだ結果、過去10数年の中でも一番トータルバランスの整った内容になったのではないでしょうか。
そんな良作に華を添えるように、「A Different World」にはSLIPKNOT/STONE SOURのコリィ・テイラー(Vo)がゲスト参加。ジョナサン・デイヴィス(Vo)との相性も抜群ですが、90年代のニューメタルヒーローとゼロ年代のニューメタルの王者のコラボレーションは、ちょっとタイミングが遅すぎるくらい。ただ、前作がヘッド復帰という大きなトピックがあったので、これくらいはあってもいいのかな。
思えば、KORNもこの時点で20年選手に突入しているわけで、この手のバンドとしては多作の12枚目。かつ、ここまでの枚数を制作しながらも同じようなアルバムは1枚もなく、毎回何かしらの変化を遂げている。ソングライター/プレイヤーとしての質の向上はもちろん、表現したいこともデビュー前後と比べたら多少は変わっているはず。そういった点でも、本作はバンドとしての集大成を示すと同時に、キャリア何度目かの“デビュー”アルバムのようでもあるのかなと。まあ、デビュー作にしては出来過ぎなくらいに完璧な内容ですが(笑)。
3分台の楽曲中心の全11曲(デラックス盤の2曲除く)/トータル40分というコンパクトさは、間違いなくその後の『THE NOTHING』(2019年)や『REQUIEM』(2022年)にも大きな影響を及ぼしているし、そういった点でも本作は何度目かのリスタートの幕開けにふさわしい1枚だったのかもしれません。
そんなアルバムが、全米チャートで近年では最高となる4位を獲得したというのも、なんだか納得といいますか。以降、完全にサブスク中心のシーンに転換していくことを考えると、(チャート的にもセールス的にも)ここまでがギリギリ“CD主流時代”だったのかな?という気がしています。
▼KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』
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