MICHAEL MONROE『I LIVE TOO FAST TO DIE YOUNG!』(2022)
2022年6月10日にリリースされた、マイケル・モンローの同名バンドによる5thオリジナルアルバム。マイケル個人としては通算10枚目のソロアルバムに当たります(JESUSALEM SLIM、DEMOLITION 23.を含むと12枚目)。
前作『ONE MAN GANG』(2019年)から約2年8ヶ月ぶりの新作。前作発表から数ヶ月後にコロナ禍に突入してしまい、日本公演を含む本格的なワールドツアーが実現せぬままモヤモヤした時期を送っていましたが、その間に「Fight Back Blues」(2020年)などのデジタルリリースもあり、またメンバーのサミ・ヤッファ(B)は初のソロアルバム『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』(2021年)を、スティーヴ・コンテ(G)もソロアルバム『BRONX CHEER』(2021年)を発表するなど、それぞれに今できることを実践し続けました。
メンバーの居住地/国がそれぞれ異なることもあり、状況が緩和されるタイミングを待っていたメンバーは、2021年後半からようやく本作の制作に向けて始動。同年11〜12月にフィンランドのヘルシンキに集い、今作を完成させました。
マイケル、サミ、スティーヴ、リッチ・ジョーンズ(G)、カール・ロックフィスト(Dr)の5人が揃ってからすでに9年近くも経ち、アルバムとしても今回で3作目。過去2作同様、リッチが大半の楽曲を書き下ろし(全11曲中7曲が単独制作、2曲でマイケルと共作)、“適度にパンキッシュ、適度にポップ”という“従来のマイケル・モンロー節”炸裂の好作品に仕上がっています。
全体的には小気味良いテンポ感のロックンロール中心ですが、中には「All Fighter」のように疾走感の強いパンクチューンやスティーヴ執筆のハードコアチューン「Pagan Prayer」もあれば、「Everybody's Nobody」みたいなミディアムテンポのポップロックもあり、さらには「Antisocialife」という美しいピアノバラードまで用意されている。アルバムを重ねるごとに楽曲の幅をどんどん広げている“ロックバンド・MICHEAL MONROE”ですが、今作ではそのバラエティ豊かさも過去イチと言えるのではないでしょうか。改めて、リッチ・ジョーンズの奇才ぶりに驚かずにいられません。
そうそう、「I Live Too Fast To Die Young」にはゲストプレイヤーとしてスラッシュ(G)が参加。過去にはマイケルと「Magic Carpet Ride」で共演したほか、GUNS N' ROSESのアルバムにマイケルを招待するなど、長きにわたり交流を深めてきたスラッシュですが、ここで聴けるギターソロは自身のソロアルバムやSLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSでは耳にすることができない、ストレートでシンプルなもの。勢い一発!なノリはマイケルのスタイルにぴったりで、新鮮に楽しむことができるはずです。
終始ノリノリで攻める本作ですが、ラストナンバー「Dearly Departed」はもっとも異色のテイスト。この曲のみバンド形態ではないこともあり、唯一“マイケルのソロ”色が強いかもしれません。でも、だからこそアルバムの締めくくりとして強いインパクトを残している。個人的にはこれもアリだなと納得の1曲でした。
マイケル・モンローという人に求めるさまざまな要素がバランス良く散りばめられつつも、比較的大人な雰囲気でまとめられた本作。この6月17日に還暦(!)を迎えることを考えれば、それも納得の1枚かもしれません。
なお、日本盤は2016年のライブ音源11曲をまとめたボーナスディスク『LIVE! TOO FAST TO DIE YOUNG IN STOCKHOLM!』付属の2枚組デラックス盤も用意。タイミング的には『BLACKOUT STATES』(2015年)発表後なので、バンド名義での3作からのベスト選曲+『NOT FAKIN' IT』(1989年)から2曲+『DEMOLITION 23.』(1994年)から2曲という内容で、HANOI ROCKSナンバーはなし。うん、これでいい。おまけとしては十分すぎるくらいにゴージャスなロックンロール・ライブアルバムなので、マイケル・モンローというアーティストに多少なりとも興味を持っている方はぜひこちらの仕様をお買い求めください。
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