THE ROLLING STONES『LIVE AT THE EL MOCAMBO』(2022)
2022年5月13日にリリースされたTHE ROLLING STONESのライブアルバム。
本作は1977年3月4日、5日にカナダ・トロントのライブハウスEl Mocamboにて開催されたシークレットギグの模様を完全収録した作品。もともと同公演から「Manish Boy」「Crackin' Up」「Little Red Rooster」「Around And Around」といったカバー4曲が、1977年発売のライブアルバム『LOVE YOU LIVE』に収録されていましたが、今回その伝説のライブの全貌が約45年の歳月を経て、ついに公式に解禁されたわけです。
全23トラックがディスク2枚(アナログは4枚)に収録された本作。ベースになるのは5日の公演で、この日披露された20曲に加え、4日のみ日替わりで披露された3曲がボーナストラックとして追加されています。この当時はロニー・ウッド(G)を新メンバーに迎え、1975年からスタートした北米/欧州ツアーの終盤戦。間にオリジナルアルバム『BLACK AND BLUE』(1976年)のリリースを挟み、精力的な活動を続けていたタイミングでした。
それもあってか、また収容人数300人というレアなキャパシティも相まってか、本作ではかなり肩の力が抜けたグルーヴィーな演奏を楽しむことができます。オープニングを飾る「Honky Tonk Women」でのキース・リチャーズ(G, Vo)のマイペースなリフワークも、それ以前およびそれ以降と比べて若干の違いを覚えたのはきっと僕だけではないはず。かと思えば、続く「All Down The Line」での熱量の高さに圧倒され、「Route 66」を筆頭としたルーツカバー、「Fool To Cry」や「Crazy Mama」など『BLACK AND BLUE』からの新曲群など、この時期ならではの選曲/演奏をじっくり堪能することできます。
本作を聴いてまず驚いたのが、その音のクリアさ。当時のマスターテープをデジタル修復した成果だと思うのですが、そうしたきめ細かいデジタル化作業に加え、名手ボブ・クリアマウンテンによるミックス効果もかなり大きいのかな。とても45年前の音だとは信じられないくらい、イマドキの音として楽しめる仕上がりなのです。言い方を変えれば、そこが非常に違和感でもあるわけですが……なもんで、最初はちょっと慣れませでした。だって、完全に今の音なのにミック・ジャガー(Vo)の歌声が若々しいし、チャーリー・ワッツ(Dr)も健在だし。「Fool To Cry」や「Hot Stuff」あたりで聴ける、ギターとキーボード/オルガンの絡みの鮮明さは必聴です。
また、本作ではのちのオリジナルアルバム『TATTOO YOU』(1981年)でスタジオ録音される「Worried About You」が先行披露されているのも印象的。『TATTOO YOU』が未発表のボツ曲で構成されたという話は事実だったんだなという裏付けにもなる、貴重なテイクですものね。
ライブ終盤は「It's Only Rock 'n' Roll (But I Like It)」「Rip This Joint」から「Brown Sugar」で締めくくり、アンコールは「Jumpin' Jack Flash」という構成はやっぱりアガりますね(「Jumpin' Jack Flash」に関しては『LOVE YOU LIVE』のテイクのほうがベストですが)。そういえば、当時は「 (I Can't Get No) Satisfaction」はマストで演奏されていたわけではなかったんですね。あと、昨今のコンプラ的問題で封印された「Brown Sugar」をこうやって(過去の音源とはいえ)再びライブテイクで楽しめるのもありがたい限り。この感じだと、二度と生で聴くことはできなさそうですしね。
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